ギブ&テイクで教え合おう

ひょんなことから、日系3世の大学生に日本語を教えることになった。
いや、教えるというより、ほらよくあるでしょう、ボクが英語教えますからアナタはボクに日本語を教えてください…みたいなパターン。
お互いの言語のわからないところを教え合いつつ、おしゃべりしましょう、というものだ。


お相手は、同じマンションに住み、いつも何かと助けてくれる日系人のおじさんの息子さん。
サンパウロ市内の大学で工学を勉強している4年生である。
彼も同じくもんに通い、日本語を習っているのだ。で、そこで私がポル語を勉強しているのを目撃したらしく、これはいい勉強相手になるかも!と思った…らしい。
おじさん経由でその話が来たとき、うーん、私も自由時間がまた減っちゃうのはちょっとキツいなぁ…と一瞬考えちゃった。
けど、まぁ、週に1回、1〜2時間程度なら、なんとかならないわけじゃないし。
何より、自分の勉強になるのだからね。


というわけで、私たちのギブ&テイク勉強会がスタートしたのだ。
そもそも私、日本語教授法を知っているわけでは全然ない。(ちょうど大学4年になったころ、うちの大学で日本語教授法の講義がスタートしたんだったよなぁ、確か。興味はあったんだけど… やっとけば良かった…)
勉強会といっても、何をどうしたらいいやら?という感じだ。
でもそれは相手も同じ、まぁとりあえずお互いのくもん教材を見せ合ったり、
(なんとうらやましいことに、くもんの日本語教材の長文問題には、ポル語訳がしっかり掲載されていたよ!ポル語教材には日本語訳なんて皆無なのに〜)
適当な雑談を日本語とポル語でしてみたり、という具合に進んでいった。


それにしても、わかっちゃいたけど、日本人と全く変わらない顔をしているのに、
日本語が話せない…という人と会話をするのは、なんとも不思議な感覚だ。
いや、彼の場合、なかなか上手にしゃべるんですよ。ひらがなの読み書きはバッチリ、漢字もずいぶん覚えているんですよ。
だけどまだまだ、ポル語でしゃべるほうが断然ラク!という感じで、
最初は頑張って日本語で話していても、次第に楽なほうに流れていき、ポル語になっていくのだ。


これまでも、見た目バッチリ日本人…な日系ブラジル人の方々と話をしたことがあるけど、
私の周りの日系人は、概して、日本語ペラペラなのだ。
だから違和感も少なかったのよ。日本の顔して日本語をしゃべる、ということの当たり前さ、って言うかね。
だけど彼は、頑張って日本語をしゃべっている、という感じがビシビシ伝わってきて、
その様子が、私がポル語をしゃべる状態とかなり似ていて、
あぁ、彼はブラジル人なんだなぁ、日本人じゃなくて外国人なんだなぁ、と実感したのだ。


なんだかうまく言えないけど、そういう感覚が私にとって新鮮で、おもしろくて、けなげで、
これから一緒に頑張ろうね!という気持ちが自然と芽生えたのだ。


しょせんお互いシロウト同士だから、何度も壁にぶつかると思うけど(すでに今日も、
うまく説明できない日本語の表現が出てきたりして、困っちゃったのだ)、
それもまた楽しめればいいかな、と。


彼も言っていた。語彙を増やすには、毎日10人の人と会話することだ!って。
10人としゃべれば、それぞれ違った分野の言葉が入ってくるものだから、
自然と語彙は増えるはずだ、と。
10人はさすがに無理だけど… そうね。会話のチャンスはどこにでも転がっている。
確かに、学校の先生、パダリアの店員、タクシー運転手、コイの友達…それぞれが使う語彙は
違う分野だわね。


これを実行しちゃったら…今以上におしゃべり女になっちゃう?私?