写真編その3:パレードの見どころ

1グループの持ち時間は65分、その間で約3〜4000人がひとつのテーマを表現するわけですが、これがまたチームによって個性があって非常におもしろいのです。
グループの構成には「欠かせない要素」というものがあり、それは各チームに必ず存在します。


たとえば、バイアーナと呼ばれるおばあさんチーム。

ほとんど顔しか出ていない、身体はすっぽりとお姫様ドレスに包まれた高齢の女性達ばかりで構成されたチームです。バイアーナとは、バイーア地方(ブラジル北東部、歴史ある地方)の女性という意味で、恰幅のいい女性と白いドレス姿が特徴的です。そのバイアーナをモチーフとして、各チーム、色とりどりのお姫様ドレス隊を持ってきます。
見たところ、かなり高齢(おそらく80歳代?)とみられるおばあさまもいます。彼女達は、踊っているというより揺れている…?だけどすっごく生き生きしているの。
若かりし頃は、セクシー衣装で高いところで踊っていたのでしょうね。
年をとってもなお、こうやってチームの中の重要な位置に置かれ、活躍の場が与えられているって素晴らしいことだなぁ…と、思わず感動してしまうのです。


それから、旗持ち女性(ポルタ バンデーラ)と、そのペアの男性(メストレ サーラ)。これは1グループに3〜5組しかいない、大変重要な役目を担っているダンサーです。
集団と集団の合間にときどき登場し、華麗なペアダンスを披露してくれます。


なんと今年は、最有力チーム「インペリアル カーサ ヴェルジ」のメストレ サーラとして、日本人のミヨシ・ツバサくんが登場したのですよ!素晴らしき快挙!
こちらのニッケイ新聞によると、彼は浅草サンバのリベルダージというチームで踊っていたらしく、去年からサンパウロ日本語教師として働いているとか。
私たちはたまたま先日のサンバ見学ツアーで彼と出会い、そのことを知ったので、今日は登場する前からワクワク。姿が見えるやいなや「がんばれツバサー!!」と大声で叫んでしまうというミーハーっぷり。
しかし本当に感動しましたよ、ブラジル人の中でまったくひけを取らず美しく舞い踊る姿に。やるじゃんジャポネス。とっても輝いていたよ!


私が最も注目していたもののひとつ、バテリア(打楽器隊)。
これ本当にすごいんです。圧巻です。
単なる打楽器隊とあなどるなかれ。衣装がやっぱりサンバなのよ。輝いているのよ。

打楽器の種類もいろいろ。大太鼓(タンタン)から高い金属音を出すアゴゴまで、いかにもサンバらしい独特の楽器がいっぱい。そして簡単そうに見えて実はかなり難しいのよサンバのリズムって。リズム自体は単純でも、その速さはなかなか真似できない。
打楽器隊の上手さも重要な採点ポイントのひとつ。やはりチームによってレベルの高低差があるようで、それは素人なりにもなんとなく感じ取れるものでした。


そしてやっぱり大きな見どころといえば、山車と衣装の豪華さでしょう。
山車と衣装は各チームのテーマによって、ずいぶん雰囲気が違ってきます。
たとえばこのチームは、「アフリカ民族の離散」がテーマ。



奴隷としてブラジルに連れて来られたアフリカ民族の歴史が綴られています。肌の黒い人たちがこのテーマを演じてしまうって…なんともすごいことだと、一同、驚きでした。


こちらのチームのテーマは「ブドウからワインまで」。


続いては「ブラジル最初の都市 サンビセンテ」。



先住民のインジオあり、オンサ(豹みたいなブラジルの動物)あり、そこに海賊や宣教師が入ってくる…といったように、ブラジルの歴史を表現したその内容は、ブラジル史を学ぶ者として非常に興味深いものでした。


羽で彩られたきらびやかな衣装というイメージが強いサンバだけど、そうではない普通の服装もありなんですねー。

オランダ娘風。

なぜか、こいのぼり風。

そして必ずあるだろうと思った、ブラジルカラー!