心底疲れた、日本→サルバドールへの移動


今回のマイレージ利用母子3人タダ乗り飛行機旅。
もう2度と、こんな過酷な旅はしないであろう…と心に誓うくらい、過酷でありました。
タダ乗りだと、母子のみ旅行に適用される「ファミリーサポート」サービスは、使わせてもらえないんですねぇ…。あれ、結構助かるのに。ちょこっと荷物持ってもらったり、子どもの手を引いてもらったり…。幼児連れには本当に助かるんですが…。
今回、それがなかったので、ほんとキツかったっす。
いやしかし、根っからの旅好きな私。ここにしっかり書きとめておかないと、またすぐにこの苦労を忘れて子連れ長旅に出そうな気配…(笑)


というわけで、時系列で振り返り、記録しておきましょう。今回の帰り旅がどんなに大変だったか。


9月18日(木)午後2時すぎ 横浜の実家を車で出発。横浜駅に車を止めて、YCATより成田行きリムジンバスに乗る。
1時間半で成田に到着。横浜って飛行機移動にかなり便利な街。羽田なら30分かからないもんなぁ、バスで。

成田のABCカウンターで、昨日発送した荷物を受け取る。スーツケース×2、段ボール×3。空港の手押しカート2台に荷物満載…
義父に一台押してもらい、子どもたちの手を義母に引いてもらい、チェックインカウンターへ。


荷物は1つ32キロという制限がある。知ってはいたが、微妙に超過しているものが数個。超過料金にビクビクするも、今回はすべてスルー!すべて何の追加もなしに預かってもらえた。ラッキー。


最後に日本のおそばを食べたい…と、2階のうどん・そば屋さんへ。天ぷらそばが美味しくて、つゆまで飲み干したくなる。


結構時間はギリギリになり、義父母との別れもあっさりと、子ふたりを連れて手荷物検査→出国審査へと進む。
手荷物検査がいつも大嫌い。パソコンを出さなきゃならないんだもの。今回はノートを2台持ってたから一層大変…。子供たちそれぞれにもリュック持たせてたし、忘れものがないようにしなきゃ。


搭乗ゲートに着くとすでに人だかり。
おっと、何かが臭う…。
アレックス、やってくれましたね…。
ま、搭乗前でまだ良かったか。オムツ交換のためにトイレに向かう。すると、サンパウロの友達Kちゃんがいるではないかっ!!びっくり。
彼女が一時帰国中なのは知ってたけど、お互い、この便に乗るとは知らず。すごい偶然♪なんかうれしくなっちゃう。
アレックスとトイレに行かなければ、きっと最後までお互い気付かなかったであろう…(席のクラスが違うと全然会わないもんなのよ、これが)


午後7時半ごろ。いざ飛行機へ。
どうやら今回は満席ではないらしい。センター4席中、3席を私たちが確保(61DEF)。もう1席には誰も乗ってこなかった。ラッキー!!!4席占領なり〜〜〜
ということで、機内は結構快適。私も横になれたからね。
NYまではコイもアレックスもよく寝た。夜のフライトだもんね、自然の摂理なり。



9月18日(木)午後8時ごろ ニューヨークに到着。日本時間で言うと、19日(金)の午前7時ってとこ。12時間のフライトが終わった…
でもまた夜である。
免税品店でひとつだけ買い物をし、搭乗ゲートへ。待ち時間は1時間ちょっと? そんなに長く感じなかった。


午後9時半ごろ ふたたび機内へ。
またも夜である。なのに、子どもたちはすでにタップリ寝た後なので、また夜だから寝ろという理屈は通らない。ギンギンに起きて遊んでる…。
お隣の列に、マナウスまで帰ると言う日本人母子が。男の子がコイとよく遊んでくれ、二人で終始、盛り上がっていた。お願いだから声は小さくね〜〜〜。
そして9時間のフライトである。
わたしは映画「セックス・アンド・ザ・シティー」を見る。見たかった映画なのでうれしい。おもしろかった…
目録に「西の魔女が死んだ」のタイトルを発見し喜ぶも、エコノミークラスでは配信されず(涙)


9月19日(金)午前8時 予定通りにサンパウログアルーリョス国際空港に到着。遅れがないって素晴らしいよね。それだけでも実はすごいラッキーなこと。
しかしここからが私たちの戦いだ…。
大量の荷物をまずターンテーブルから下ろす。コイにアレックスの監視をお願いして。大きなカート二つに荷物満載、さてどうしよう。
カート二つとアレックスのベビーカー。なのに押し手は私とコイしかいないよ…。


と途方にくれていると、JALのバッジをつけたお兄さんが登場。乗り継ぎのTAMまで行かねばならない旨を伝えると、そこまで手伝ってくれることになった。
ありがたや〜〜〜。
こういう人がいるのがブラジルのいいところよね。日本ならどうしてただろう。
お兄さんと一緒に重いカートを押し、税関を抜ける。今回も荷物はすべてスルー、検査なしである。
見るからに大変そうな親子連れには優しいのね?!きっと。私は今まで、空港で荷物ひっかかった試しがないよ。


午前9時。エレベータに乗り、国内線移動のため、TAMのカウンターへ。
お兄さんとはそこでさようなら。チップを渡し、別れた。
さぁここで荷物を預けたらもうラクラク…!


が、しかし。世の中そんなに甘くなかった。
私たちのフライトは、午後4時発。
それだと、荷物を預けられるのが正午からだという。げ、今から3時間もこの大荷物と過ごすのか…。
途方に暮れる…。


なぜ午後4時発にしたかというと、安かったのと、サルバドールでのダンナの迎え可能時間を考慮して。
だけどこの荷物とは今すぐ離れたい…。
とりあえず、もう少し早い便に変えられないか、TAMの航空券売り場へ行ってみることにした。重いカートの一つはコイが押して…。


事情を話してみると、なんと、追加料金が一人500レアルくらいかかるという。3人で1500レアルって、約9万円だよっ!!!
さすがにそれは無理です…(涙)
仕方なく、荷物預け可能になる正午まで、ロビーでぼぉーーっと待つことに。それしかないもんねぇ。
サンパウロに家があるなら、もう今、タクシーに乗って…お昼にはベッドに横になれるのに…
そう思うと、サルバドールに住むことを恨めしく感じた。


たまたま、同じ便で日本から帰って来たジャイカ研修生のお姉さんがいて、彼女も午後9時の便でパラー州ベレンまで帰ると言う。9時って!私たちよりさらに遅いじゃないの…
ブラジル広いよ…。
その彼女と一緒にロビーで待つことにする。そうすれば、大きな荷物の見張り番を交代しながらトイレにも行けるしね。
10か月の時に日本から移民してきたと言うお姉さんはベレンの近くで日本語教師をしているそうだ。折り紙をコイに教えてくれたりして、すごく助かる…。


待ちに待った正午。
ふたたびTAMカウンターに向かう。おっと、すごい行列だ…。
いつもは子連れってことで優先列に並ぶんだけど、今日は優先列のほうが多いぞ、ってくらい人が。どうやら、北京でのパラリンピックに参加したブラジル人アスリートたちが各地に帰る日のようだ。
パラリンピックってことは、障害をお持ちの皆さん、ってことで優先列へ…。
なので私たちは一般列に並んだ。並んで待つこと約40分なり。
列のジグザグを、重いカートを押して移動するのが大変で。コイは全身全霊を込めて「うおっ」とか掛け声をかけながら押してくれた。
そのけなげさに涙が出そうになる私…。ごめんね苦労かけて…。


やっとの思いで着いたカウンターでは、荷物の超過料金350レアルを払えと言う。き、きびしいのぉ〜〜〜。
日本から来たんだけどダメですか?と聞くと、日本からサルバドールまで通しで航空券を買っていれば国際線の制限32キロでOKだけど、あなたの券は別々に買ってるから国内線の23キロの制限になるのよ、と。
うーーーん。これも仕方ないか。サンパウロー日本はタダ乗りだもんねぇ。通しで買うもなにも…。
トータル50キロオーバー、1キロあたり7レアルちょっとかかるというわけで350レアル。約2万円也。
ま、日本から荷物を送ることを思えば、やっぱりこっちのほうが安いわ。


ふらふらになりながら荷物を預け終え、やっとすこし身軽になる。
列に並んでから実に1時間15分後、ようやく手続きが終わった。
あ、そういえば、父親なしで旅行する場合の承諾書「オートリザッサォン・ダ・ビアージェン」は今回、求められなかった。
というのも、TAMカウンターでは、3人とも日本のパスポートしか出さなかったから。ここで下手にイデンチダージを出すと逆に面倒なことになりそうだったから。
結果、大丈夫でした。
なーんだ、今後とも、父なしブラジル国内旅行は日本のパスポートで通せばいいんじゃん???
(でもアレックスのパスポートにビザがついてないから、鋭い人には気付かれるか)


午後1時半。
やっと念願のマクドナルドへ…。
コイは、マックに行くために、ここまでの重労働に耐えたのだ。マックよ偉大なり。
ベレンのお姉さんも一緒にマックランチ。久々に食べたブラジルのマック、ポテトがしょっぱくて、やっぱりブラジルだわぁ…と実感。


午後2時過ぎ。
早めに搭乗口まで行って休むことにした。お姉さんとはここでお別れ。まだまだ長い待ち時間、頑張ってくださいね…と、記念撮影をしてお別れ。
私たち、いつも誰かに助けられて旅している。ありがたいなぁ、本当に。


搭乗口のベンチで、ついつい眠ってしまう私。さすがに疲れた…日本で飛行機に乗ってからすでに30時間が経過…。
ちょっと横になったら寝ちゃってた。アレックスも。
だけどコイだけは頑張って起きていてくれた。荷物が盗まれないか。アナウンスが入らないか。
そのへんが気になって、気を張っていてくれたんだと思う。頼もしい長男、6歳児。
寝ていたのは15分くらいだけど、コイのおかげで少し休めたよ。ほんとありがとう。


午後3時半。
やっとサルバドール行きの飛行機に乗れる〜。
しかし…
よりによって、バスで飛行機まで移動するんだってよー。北海道の地方空港へ行く羽田発の便みたいだよー(涙)
何が大変って。アレックスが熟睡中なのでベビーカーに乗ってるの。私はパソコン入りのゴロゴロバッグを一つ引っ張らなきゃいけないの。
機内に直接乗り込めるなら、それでいいんだけどさ。
ベビーカーをバスに乗せ、バッグをバスに乗せ…。この作業が余計だよー。


そしてもうひとつ難関。
バスに乗って飛行機まで移動、ってことはですね。
飛行機に乗るために、階段を上らなきゃいけないんですわ…。


ベビーカーは階段手前で預けて。アレックスをたたき起して機嫌が悪い中、歩かせて。
だってゴロゴロバッグ+アレックス抱っこで階段なんて、さすがの私にも無理…。


こうしてやっとの思いでサルバドール行きの機内に落ち着いたら、母子3人、すぐに眠りに落ちました。そこからもう熟睡の約3時間。
気がつくと到着のアナウンス。
また二人をたたき起し、それぞれにリュックを背負わせ、いそいそと飛行機を降りる。だって、ぼやぼやしてたら、次の目的地・レシフェに行くお客さんが乗ってきちゃうよ。
車いす利用のパラリンピック選手たちとともに、ゆっくりと移動。彼らがいたから、私たちも少しゆっくりできたよ。


そしてまた恐怖の荷物引取り…。
しかし、ここには、ありがたいことにポーターのおじさんがいるんですねぇ。カートを押して、お客さんに声をかけてくる。
いつもはうるさいなぁと思うこのサービスだけど、今日ばかりはもう頭を下げてでもお願いしたいっ!!
結局、このおじさんと二人で1つずつカートを押し、アレックスのベビーカーをコイが押し、なんとか出口へ…




っと、出口付近がやけに賑やか。
どうやら、パラリンピックの選手、なんと銅メダリストだったらしい。歓迎ムード一色で、マスコミはいるわ楽器付きの応援団はいるわで、大騒ぎ。
いつもは写真に写ってお金をもらっているバイアーナ女性たちも、先週を囲んで記念撮影だ…
そんな状態だから、すぐにダンナを見つけられず。
お祭り好きな彼のこと、きっとあの輪の中で写真でも撮っているんだろう…と、人ごみの中を探しに行く。


すると、別の方向からやって来た。
思わず抱き合って再会を祝う。
つーーーと伝う涙。
この涙はね、会いたかったとか恋しかったとか懐かしいとかうれしいとかそういう感情ではなく。
ただただ一言。「安心したから」。


少し離れたところで待っていたコイとアレックス。
パパの顔を見て、コイも、言葉なく涙をポロポロと流し始めた。声もなく。
きっとコイも、張りつめていた気持ちが、パパの顔を見たことでぐっとゆるんだんだろう。


ここに着くまで。
私に何度も注意されてきたコイ。
「人さらいがいるかも知れないから、ちゃんとアレックスを見てないと!」
「泥棒がいるかも知れないから、荷物をちゃんと持ってないと!」
「カートを押す時は周りを見て!迷惑かけちゃだめ!!」


これらをちゃーんと守って、泣き言も言わず、最後まで頑張った。
相当、疲れたんだろう。
声なき涙が、それを物語っていた。苦労をかけてごめんよ、コイ。その涙に、私もまた、泣けてきた。
パパは、どうして二人して泣いているのか、よくわからなかったみたいだけど。
この涙は、あの長旅を経験した者にしかわからないかも、ね。


荷物は車の後部座席をつぶせば全部乗ったけれど、今度は人間が乗る場所がない。
私とアレックスは、空港からタクシーを使って帰宅した。


8月19日(金)午後8時半。
やっと我が家のドアを開けた。
久しぶりの我が家だけど、2歳児のアレックスにとっては記憶が微妙だったみたいで。自分のおもちゃ部屋へ、一人では怖いと言って行こうとしなかった。
なんかおもしろい反応!


私たちのモノが、ここにはすべてあって。
やっぱり、サルバドールに「帰って」来たんだなぁ…と思った。感慨深かった。
約36時間の旅は本当につらかった。サンパウロとは全然違う、さらに辛い移動があるってことを、初めて身をもって体験した。
でも。
何時間かかっても、家族みんながまた一同に集えたことの幸せ。これは何にも代えがたい幸せだ。
大変だ大変だと言ってないで、健康のありがたみと、無事故の無事に感謝しないとねー。


またサルバドールで頑張れそうです。
日本でお世話になった皆さん、私たちは元気です。安心してね。ありがとう。