ふるさとは究極のリラックス


外に出てもほかの人の姿が見えない。
車が通る音も聞こえない。

見えるのは空と山と緑と、点々と並ぶ遠くの家と。
聞こえるのは鳥のさえずりと風の音と。




自然の中で暮らすって、すっごい贅沢だなぁと思う。
高校卒業まで18年間ずっとここで生まれ育って過ごしていたのに、そのころはちっともそんな風に思わなかったのに。
故郷を出て、かれこれもう20年近くになる。正確には18年。ちょうど人生の半分が風連で、半分がそれ以外の街ってことだ。


ここ以外に住んだのは、東京都小平市、札幌市中央区、東京都江東区、ブラジル・サンパウロ、そしてサルバドール。
どこも都会で、窓の外にはいつも誰かの気配がして、声が聞こえて、車が通って。
それぞれの街にいいところと悪いところがあったけど、どの街も住めば都で、どこも気に入っていたけど(サルバドールもね)…
でも、風連みたいなところは、一か所もなかった(そりゃそうなんだけど)。


ふるさとの良さは離れてからこそ知るもの、と良く言うけど、まさにその通りかもね。
今は、こんな環境で育ったことを誇りに思うし、今もなお同じ環境が残っていて、短期間とはいえそこで過ごせることは、奇跡に近い幸せだと思っている。
勝手知ったる町を、自分の好きなように自由自在に移動し、青春時代と変わらない風景に胸がキュンとなったり。
なーーーんにも考えず、心底ぼーっとできるのは、ここしかないかも知れないなぁ。
懸案事項はたくさんあるけど(ガラス問題とか学校のこととか)、ここにいたら心を空っぽにできるというか。
究極のストレスフリー空間、だな。私にとって。
こりゃ、太るわ(笑)


高校時代に強く不便さを感じていた「移動」問題は、いま自分が車を運転することで解消できている。(当時は自転車で1時間とか。)
最低、旭川まで出なければ気に入った服や小物が買えなかったという「買い物」問題も、今や、車で15分のところにイオンができ、ユニクロダイソーケーズデンキもあり…
高級ブランド系の服や化粧品や小物、それに高級食材などの類をのぞいては、ほとんどのものが地元で買えるようになった。(もっとも、そういうものも今はネットで簡単に手に入るし、こんな田舎にもしっかり時間指定を守る宅配便が来てくれる)
これで、必要なだけの給料が得られる仕事がここにあれば、もう、ずっとここに住みたいと思うかも。
文化的なイベント、コンサートとか展覧会とかがないので、そういうのが好きな人には物足りないけど、それだって数時間の移動で都会に出れば得られるものだし。


もう、とにかく、今住んでいるサルバドールとのギャップが大きすぎて。
サルバドールもいいんだけど、全体的にやっぱり疲れるんだよね。
言葉的にも、治安的にも。いろんな面で、頑張らなきゃ生きていけない。気を張ってなきゃ、暮せない。
それって、毎日のことになると、結構、いやかなり、疲れるんだよね。
サルバドールにいると、毎日が日常だから、いちいちそんな風に振り返らないけど、ここにいると強く感じる。結構私も、ストレスたまってたんだなぁ、って。


今ここで、きれいにガス抜きをして、ストレスを取り払っていこう。
しっかり故郷の空気をすって、英気を養おう。色とりどりの花から、元気をもらおう。
今日の空もやさしい青で、雲もなく広がっているよ。