まさにトーマス!の蒸気機関車、マリア・フマッサに乗って


街ご自慢のレトロな蒸気機関車は、マリア・フマッサと言う名前を持つ。マリアは女性の名前で、フマッサは煙。煙のマリアさま?
普段は週末の10時と15時の1日2本だけ運行している観光列車だが、今日は連休ということで増便されていた。私たちの乗った12時の便も、もちろん満席!みんなホームで記念撮影したりして大賑わいだ。



駅も、機関車も、客車も、とにかくレトロだ。絵にかいたような蒸気機関車そのもの。まさにトーマスがアニーとクララベルを引っ張って走る、その中に自分たちが乗っている… それってかなり感動的よ。
コイもアレックスもトーマス好き、だからその様子をシンクロさせて感動するかと思えば、二人ともまだよくわかってないみたいで?!一番感動してはしゃいでいたのは私だったかも。


客車内も木造りで、イスの感じや窓の感じも昔ながら。機関車自体、もう80年ほど経つ車体だそうだけれど、大切に大切に、愛されながら手入れされているんだろうね、今も現役でこんなに多くのお客さんを立派に運んでいるんだもの。
ミナスの手作りお菓子を売り歩く販売員も乗り込んできて、旅気分満点。1つ1レアルのお菓子はとにかく甘かったけれど、これも昔ながらの製法?などと思いながら食べれば旅情も高まるわね。


列車は30分ちょっとで目的地のチラデンテスへ。途中、牧場や沼などの牧歌的な風景を眺めつつガタゴト揺られていると、あっという間に到着だ。


駅を出ると、たくさんの馬車が乗客を出迎えている…と地球の歩き方に書かれていたけど、むむむ、馬車なんていないよ???
さすがにこれだけの観光客だもん、みんな出払っているよね…
と思ってたら、すぐに次の馬車がいくつもやってきた。見たところタクシーらしき車はなく、交通手段は徒歩か馬車というのが基本らしい。見どころが集中するセントロまで歩いても15分ほどだというけど、子供たちもいることだし、迷わず馬車を目指した。


2時間、観光スポットを巡って35ヘアイスというので、まぁまぁかなと思って特に値下げ交渉もせずに乗車した。そして、まずはランチしたいので適当なレストランに行ってもらうよう頼んだ。いつもは入るレストランも下調べして行くけど、今回は行き当たりばったり。馬車づかいのおじさんにお任せしたんだけど、これがかなり美味しいレストランで!



店内も満席に近い賑わいぶりで、雰囲気も明るい中庭があったりして気持ちいい。ペンションも併設されているようなので、食事重視でチラデンテスに泊まりたい人にはオススメかも。
ここではやはりミナスの伝統料理を味わおうと、中でもお気に入りの「フランゴ・コン・キアーボ」(鶏肉とオクラの煮込み)をオーダー。それと子どもたち向けに「カンジャ」(煮込み雑炊)。これらが、独特のポッテリした黒い鍋に入ってアツアツでテーブルに届くのであります。

こちらがいずれもかなり美味!今まで食べたミナス料理店のどこよりも美味しいと感じたわ。自分でもこの味を再現したい〜。



この店で一緒になった、サンタカタリーナ州から家族旅行に来ていたマヌエラちゃん(2歳)がアレックスをいたく気に入ってくれ…この年で立派にキスだよ…。さすがブラジレイラ?!可愛いなぁ。


食事中、私たちの馬車はいったん店を離れ、馬車づかいさんもランチして40分後に戻ってくると言った。しかし、40分後どころか、お会計が終了した約1時間半後になっても一向に彼は現れず…。さすがブラジル…。
この街の地図は持ってないし、いったい今、街のどのあたりにいるのかもわからない。しかし、いくら待っても絶対来ないという確信があったので(この辺、あきらめが早くなったわ、私も)、スタッフに別の馬車を呼んでもらうよう頼んでみる。しかし特に契約している馬車はないので呼べないという。


しょうがないから、セントロまでの道を聞き、なんとか徒歩で広場までたどり着いた。思ったより近かった。どうやらここはサンジョアンよりかなり狭い街らしい。そして全体が観光地という雰囲気だから、間違って迷い込んで怪しい路地に…という恐れもほとんどなさそうな感じがした。(夜はわからないけどね)
だから、ぷらぷらと歩いていても気持ちが良かったよ。


広場の周りにはちょっとした飲食店やお土産屋さん、馬車がたくさんあって華やかだった。よし、ここで改めて馬車をチャーターし、いよいよ市内観光だ〜!と意気込んで身近な馬車に声をかけたら、さきほど駅で言われた内容と同じこと(市内の観光スポット7か所を巡る2時間コース)が、今度はなんと50ヘアイスだという。さっきより15ヘアイスも高いよ!
そんなに高いんだったら他の馬車を当たるよ、と言ったら30ヘアイスまで下げてきた。なんだよ!
というわけで、馬車とはぜひ値段交渉をしましょう。ブラジルは言ったもん勝ち、言わないとソンすることが多々あるなぁと改めて思うひとこまであります。


最初に行ったスポットが、18世紀に造られたシャファリスというもの。これはいわば単なる水汲み場なんだけど、当時は水源があまりなく、ここは貴重な飲料水確保スポットだったようです。雨が少ないとここから出る水も少なくなり、ますます貴重な水ということになったそうです。馬車づかいの兄さんが、一応、スポットごとに解説してくれました。が、私のポル語理解力なのでいまいち確証はないのですが(笑)


続いていくつか教会を巡り、ええと、それぞれの名前は忘れてしまいました。中にひとつ、約400キロもの金を使ったという超豪勢な教会があったけれど、あれはサン・アントニオ教会だったかなぁ…
そこは写真撮影不可でした。


こぢんまりとした街なので、7か所の観光スポットといっても1時間ちょっとで周り終わってしまい、帰りの汽車までまだ1時間あるよ…という状態に。とりあえずまたセントロの広場に戻り、軽くガラナを飲んで休憩したり、お土産屋さんを覗いたりした。まさに観光地だから、同じ立場の観光客がいっぱいで、なんだか居心地がいい。治安の悪いブラジルだけど、ここではいくぶんリラックスして街歩きを楽しめた。



帰りは3時と5時があったけど、ゆっくりランチして街を見たかったので5時にした。これが最終。またも満席だった。
帰りはちょうど夕日が落ちる時間帯で、車窓からの景色もオレンジ色に染まって美しい。「世界の車窓から」に出てきそうな風景で、たった35分の旅だけど、情緒あふれる最高の小旅行でした。



帰り着いた駅の構内に、レトロな衣装を着て蒸気機関車と一緒に白黒写真を撮影してくれるというサービス(もちろん有料だけど)があったので、利用してみた。そう、神戸の異人館でドレスを借りて撮影するような雰囲気。コイもアレックスもベレー帽かぶってステッキ持って、なかなか似合うじゃないの!
っていうか、家族4人でこの衣装で汽車をバックにカメラに収まると…それこそ神戸港を出た日本からの初期移民一家のようで。どういう気持ちで、当時の家族は海を渡っただろう…と思わず想像せずにはいられないシチュエーションだった。
出来上がった写真はなかなかのもので(単にエプソンのプリンタでその場で印刷されるという仕上がりだったけど)、今回、何もお土産を買わなかった我が家にとって、とてもいい記念になりましたよ。