荒くれ馬乗りロデオとイヴェッチ・サンガーロのショウ

ブラジルは牛肉をよく食べる国=牛の多い国=牧畜の盛んな国=馬乗りの多い国=ロデオ競技の盛んな国…
という図式なのでしょうか。
この季節、各地でRodeio(ホデイオ)、いわゆるロデオが行われています。
いくつかロデオで有名な町があるそうですが、イベントごと・お祭り好きな私たちも、さすがに馬のことまではよく知りません。
なので、こんなことでもなければ、ブラジル滞在期間中、一度もロデオなるものを見ることはなかったでしょう…


こんなこと、とは、そうですバイアの人気歌手、国民的アイドル(と言うには年季入りすぎてます?)のイヴェッチ・サンガーロがとあるロデオ会場で余興(つまりはショー)を行うというのです。
たまたま駐在妻友達と金曜日に会った時に偶然その情報をいただき、お、あさっての日曜日ね!ならば、ウチも行っちゃう?
というような軽〜いノリで、イヴェッチを見に行くことに決めたのです。


今回訪れたJaguariúna(ジャガリウーナ)という、サンパウロから車で1時間半強の街。カンピーナス市の隣あたりですかね。
前売り券をショッピング・イジェノーポリスのCASIOショップで購入し(パウリスタショッピングのカシオショップでは金曜の時点で売り切れだった)、夜の冷え込みに備えてダウンやフリースを旅行バッグに詰め込んで、家族一同お出かけしました。
ショウは夜の8時半からなんだけど、開場は確か3時くらい。ロデオそのものや、バイアの音楽トラックによる野外ショー(まさにサルバドールのカルナヴァル状態、トリオ・エレトリシコが1台来て、周りで若者が踊り狂っていた)もある。
我々も4時半ごろ到着したので、会場内をぐるぐる一巡してみた。


これは若者向けイベントなのか?ってくらい、20代前半くらいの若い子がすごく多い。
しかも皆、カウボーイ風の帽子をかぶったり、革のブーツをはいたりして、雰囲気満点。まずは形から入るのがロデオの基本のようだ。
奥のほうにミニ遊園地コーナーがあり、ここで子ども達と一緒に遊具に乗ってみたりした。
こういうの、なかなか楽しいじゃない!そういえば遊具系は久しぶり、っていうかブラジルに来てから始めてかも。
コイもアレックスも、とりわけコイは、すっかりこういうのを楽しめる年頃になっていた。いいねぇ、遊ばせ甲斐があるってもんよ。


特にウケたのが。
ディズニーキャラと、ドラゴンボールと、ピカチュウが同居しているメリーゴーランド(笑)
いずれも真似っこニセモノキャラなんだけど、それにしても日本のアニメってすごいよなぁ、こんな田舎にまで進出しているなんて。
あおむし風の車に乗ってレールを走るアトラクションに息子二人とともに乗ってみたんだけど、これがちょっとしたミニジェットコースターになっていて、それなりの急降下があったりして、ちょっとスリリング。
怖がるかと思いきや、コイもアレックスもけろっとして喜んでいる。男の子は強いのぅ。


…と、そんなこんなで、一体何がメインイベントなんだっけ今日って? というような過ごし方をし、屋台でペルニウサンドとビールを平らげ、じゃあトイレに行っていよいよロデオ会場に入ろうか…としたところ。
なんとそのトイレ内で友達親子にバッタリ!
まぁきっと会場で遭遇すると思ってたから、お互い待ち合わせも何もしてなかったんだけどね、なぜかトイレでバッタリよ。
その後は一緒にロデオ会場のスタンド席に陣取り、2家族でショーの開始を待つことに。
コイは大喜び、いつも仲良くしているお友達と一緒に過ごせるんだもんね。(良かったよ、待ち時間の間が持って。ね!)


ところでショーの開始は8時半のはずなのに、8時を過ぎてもまだまだロデオをやってるよ。
全然終わりそうな雰囲気がないよー。
っと、本来のイベントはロデオなのに、イヴェッチを心待ちにする私たち。
いやきっと、会場を訪れたお客さんの8割はイヴェッチ待ちでしょうよ。


とは言え、ロデオ自体もかなり興味深く、スリリングで、面白いものだった。
文字通り、暴れ馬にまたがり、ぶんぶん揺すられるのを耐えて耐えて耐え抜き、最後まで落馬しなかった人が勝ち!というような競技だ。
これがもう、馬がめちゃくちゃ跳ねまくるわけですよ。乗っかってる人もすごいの。すごい体のバネ。
うまい人は本当に最後まで落ちないのよ。


馬乗りバージョンと、牛乗りバージョンがあったけど、牛がまた馬以上に体が大きくて動きが激しくて、より一層怖そうだったのだ。
順位付けがちゃんとあり、優勝した人は、かなりの賞金を得ていたようだった。うーん、カッコいいね、カウボーイ!


とっても可愛い子供たちの「羊乗り」ロデオもあり、これまた上手な子の演技はものすごくて(しかも6歳くらいの可愛い女の子)、思わず見とれちゃいました。
って、実際は見とれるほどの時間はないんだけどね。羊だって走るのが速いのだ。


それにしてもイヴェッチよ。まだ始まらないのかい?
子どもたちは飽きてきちゃうし、眠くなって来たし…だってもう10時だよ!すでに1時間半経過。
で、結局会場が動き出したのは10時45分ごろ。ロデオ会場だったフロアに、どどどーっと人間暴れ馬状態でファンが入場してきた。
土ぼこり舞うフロアは、コンサートのアリーナ席に早変わり。



程なくして、いよいよイヴェッチ嬢の登場!


今ブラジルで一番よく流れてる曲じゃないの?って思うくらいよく耳にする有名な曲がオープニング。
そう、先日のサッカー観戦・カンピオナートパウリスタの決勝戦でも余興として流れ子ども達が踊ってた曲である。
もう会場、大喜び。私たちも大喜び。これなら一緒に口ずさめるもんね〜。

それにしても、イヴェッチの迫力と歌唱力はやっぱりすごいね。その存在感。カリスマ性。
ブラジルを代表する、今一番旬な歌手と言っても過言ではないでしょう。
よくこれだけの人が、こんな田舎町(失礼!)に集まってきたわね〜、さすがイベッチ人気…。アリーナの人の波は、まさにサルバドールのブロッコ状態であった。


今回一番驚いたのが、彼女のダンスである。歌いながらステージ狭しと踊る、走る!
ジャニーズ系も真っ青(というのは言いすぎ?)の動きっぷりである。あれだけ動いて、よくあの声量をキープしながら歌えるねぇ。
基礎体力が相当ありそうだ。たくましい。
サルバドールのカルナヴァルで彼女を見たときは、こんな踊りに触れるチャンスはなかったから…(山車の上は狭くて踊れない)


イヴェッチ本人の踊りもさることながら、周りのダンサーたちがまた素晴らしい。
アシェの魅力満開!って感じで、男性ダンサーもカポエイラ風を取り入れつつ、まぁよく踊る踊る。
それを見てるだけでもかなり楽しい。イヴェッチの歌を生で聴きながらなんだもの、もっと楽しい!


最後まで見ていたかったけど、なんせ2時間遅れで始まったショウである。すぐに日付が変わり…うぇ、明日は月曜日だよ!
仕事も幼稚園も普通にあるわけで。
ここから車で1時間半かかるわけで。
うーん、残念だが、途中で切り上げるしかないね。
主な曲はだいたい聴いたから、かなり満足したけどね。なつかしの「ランバダ」ポル語版も歌ってくれたし。


帰り道は眠気との戦いで大変だったけど(運転のダンナさまご苦労様でございました!)、とっても濃い〜一日を楽しむことが出来ました。
イヴェッチの良さを再認識できたし、こういうブラジル文化もあるのねぇ、とこの国の新たな一面を垣間見ることが出来たのはとても良かった。