サンパウロ州選手権、優勝決定戦観戦レポート(後編)
試合中、私はグランド上の選手達の動きを見るのと同じくらい、周りの観客の様子を見るのを楽しんでいた。
だってねぇ、反応がすっごくおもしろいのよ。
まさに文字通り、一喜一憂。
サントスは今日、結構調子が良くて、ゴールのチャンスを何度も作っていた。
ゴールのナナメ端っこに目掛けて鋭くシュート!というシーンが2〜3度あり、いずれも惜しいところではずしちゃったんだけど。
そんなときファンたちは、「うーっ」と言う。
心から残念そうに、声を腹から絞り出すように、「ウーッ」。
これは、なかなか真似できない発音である。
応援リズムもいくつかあるけど、あれだけのファン数がいるのに、打楽器隊と呼べるものはほんの少数。淋しいな、と思う。
サンバ調の応援なら、エスパルスの方がよっぽど上手で素敵だと思う。
(ダンナいわく、サンバ調の応援は、ブラジル中のどのチームよりもエスパルスが上手いって!やったね、パルちゃん!)
選手がミスしたり、審判が怪しい判定を下したりすると、必ず聞こえてくるのが「ブーッホ!」
直訳すると、ロバ、である。
マヌケ野郎!とでも訳すればいいんでしょうかね。
汚い言葉なので、良い子の皆さんは覚える必要ないですからね。
ブッホ以外にも、サッポとかメランシーアとか聞こえましたが。サッポはカエルですからなんとなくイメージわきますが、メランシーアはスイカですよ?
スイカがどうしたっていうのだ???
とにかく終始ノリのいいファンたち。
前半、最初の一点(先制点)が決まると、そりゃもう大喜び。
周りの人と誰かれかまわず抱き合って飛び上がって大喜び。
ダンナはコイを高らかに抱き上げて大喜び。もう立派なブラジル人並みの応援だ…。
前半に一点とれたことは、サントスにとってとてもいい流れになった。
そうでなくても、今日はすごくイケイケの雰囲気が出ていて、見ていて気持ちよかった。
むしろ、相手に覇気が感じられず… どうしたの?サンパウロから4点も奪った君達はどこへ?って感じで。
ともあれ、いいムードで前半終了。
さて、お楽しみのハーフタイムショーである。
エスパルス戦では、可愛いパルちゃんがマツケンサンバを踊ったりするそうだが、ここモルンビースタジアムでもなかなかに豪華なショーが繰り広げられましたよ。
ほら。このヌイグルミの数をご覧下さい。
ここは遊園地でもピューロランドでもディズニーランドでもありませんよ。
北京市の石景山遊楽園でもありませんよ(爆)
れっきとしたサッカー場ですよ。
その証拠にほら。みんなでサッカーしてるんですから!
かわいいっしょ?!
そしてよーく見ると、ん? しまじろうもいるよ???
ちなみに、我らがサントスのキャラクターは、イルカ?シャチ?と思ったら…
クジラだそうです。Baleinha e Baleião(ちびくじらちゃんと、でかくじらくん)。
塗り絵で見ると可愛いんだけど(後日紹介予定)、ヌイグルミになると妙に黒光りしててちょっとコワイです。動きも鈍そう、ですが、さきほどのサッカーゲームでは得点してましたよ。なかなかやるな。
そんなわけで、観客もホンモノの試合さながらにキャラクター試合を応援。
そんなノリも、さすがブラジル人だと思う。
ハーフタイムの15分はあっという間に終わった。
続いて後半。
待ち望んでいた日系人選手、Rodrigo Tabata(ホドリゴ・タバタ…日本風に言うと、ロドリゴ・タバタ)の登場。
これまで2試合は先発してたんだけど、いつも後半に交代しちゃうのよね。
今日は先発じゃなかったので、必ず後半に出てくると思っていた。
わきの芝生でウォームアップする彼、ヤル気に満ち溢れている様子が伝わる。かっこいいぞ!
単に日系人であるということを抜きにしても、結構りりしくてかっこいいと思うのは私だけ?
いい活躍をするので、ブラジル人サントスファンにも人気なのよ。
コイがサントスのウエアで歩いているだけで、「タバータ!」なんて声がかかるんだからおもしろい。日本人と見ればタバタなんだな。
いよいよお呼びがかかり、ルシェンブルゴ監督から指示を受けているタバタ。
後半30分ごろようやく出場。同時にもう一人選手交代。一気に二人交代だ。
そして、サントスは、36分ごろに優勝を決める貴重な1点をゴールしたのであった。
その後、このまま2対0で逃げ切れるのか。
残り時間が気になるところ…。
だが、なぜかブラジルのスタジアムには、残り時間を表示する時計も、普通に時間を示す時計もない。(普通の時計は、試合開始前までは電光掲示されてたけど)
だからみんな、ロスタイムが何分あるか、そもそも今は何時なのか、かなり気になるところ。
腕時計はご法度のサッカー観戦だから、携帯で時間確認である。
そして午後6時過ぎ、あたりがすっかり暗くなった頃、ようやく試合終了。
2×0でサントスの勝ち。
1戦目は2×0で負けてたけど、リーグ戦でぶっちぎりの1位だったので、引き分けでも優勝が決まったのだそうだ。
ファンたちは、自分のユニフォームを脱いで手で振り回して大喜び。
上半身裸オトコ率、急上昇の瞬間である。
ほどなくして、夜空に花火が打ちあがり、まさにお祭り気分満点の中、優勝カップ授与のセレモニーが始まった。
プレゼンターのお姉さん(きれいどころを一応おさえてみた)。
高いクレーン車のようなものの上にサントスのキャプテンが乗り、巨大な優勝カップを高々と掲げていた。
足元では選手達が飛び跳ねながら喜びを表現。やっぱりノリがいいのだ〜。
そしてスタンドでは、みんな携帯カメラやデジカメでその様子を撮影している。
サッカー観戦時は人混みだし決して安全とは言えないところもあるから、腕時計ははずして荷物は持たずに!と言われていたし、実際に腕時計をしている人はほとんどいないのに、携帯やカメラは持ち歩いてるんだな。
ブラジル・サンパウロもそういう時代なのですな。
この間、プレミアムシート(ちょっと高価な、屋根つきの席。日本人向け観戦ツアーもここに座る)のお客さんたちは早々に会場を後にしていました。
我が家は一応セレモニーの最後まで見て、まだ熱狂的ファンたちが盛り上がっている中、少しずつ帰り始めた家族連れに混じって外に出た。
外はまるでサントス祭り。みんな、大声で「Bi-Campeão!(ビ、カンペァオン!)」2年連続優勝!などと叫びながら歩いている。
それぞれの方向へ。あるものはバス停へ。あるものは駐車場へ。あるものは自宅へ…。
それはそれはものすごい人混みだけど、サルバドールのカルナヴァルのブロッコに比べたら、どんな人混みも大した事ないと思える私たち。ま、実際、東京の初詣程度の人混みだったかな。
串刺し牛肉の屋台や、ビール売り、ユニフォーム売りなどがここぞとばかりに商売を繰り広げる。私も、アレックス用のユニフォーム、15へアイスを10へアイスまで値切って購入した。韓国系の女性が売っていた。たどたどしいポル語で。品質はなかなか良かったよ。ボン・ヘチーロから売りに来たのかな。
と、相変わらず長文になりましたが、書いてみて思ったんだけど、やっぱりサッカーもサンバと同じくらい見どころが多いし、庶民的なブラジルを体感できる場所だし、これはこれで魅力だなぁと実感。
サンバと匹敵する長文になっちゃったんだもん(笑)
でも。最後に一つ大事なことを言うと。
庶民的ということは、それだけアブナイ場面も多いと思われることであり。
試合内容によっては、本当にファン闘争でけが人が出たり警官が発砲したり…ということが十分にあり得るわけで。
我が家も、ダンナとコイでよく観戦に行っているけれど、選ぶ試合の条件は次の通り。
・有力チーム同士の争いではないこと。
・対戦相手の応援団が圧倒的に少ないこと。(相手が地方のマイナーチームなど)
・開催時間が明るいうちであること。(夜10時からの試合が普通にあるもんね)
これ、とっても大事。
まず有力チーム同士は、本当に何があってもおかしくない。政敵みたいなもの。だから子連れでなど怖くてありえない。本当はダンナは有力同士を見に行きたいらしいんだけどね。でもあえて危険を冒してまで現場に向かわなくても、テレビでいいか〜、と思っているらしい。
そして対戦相手の応援団が圧倒的に少ない=大多数が同じユニフォームを着て応援、という図式である。これは、とりあえず大多数に混じっていればまず安心。逆に、大多数と相対する色を着ていると目立ちすぎて怖いかも知れない。
地球の歩き方などには、両チームの色と関係ない色を着るように、とあるけれど、大多数がどちらかはっきりしている場合は、その色に同化したほうが安全だと思う。
サントスなら白か黒、パウメイラスなら緑、のようにね。
さらに、試合を見に行くと決めたら、事前に周辺状況の下見をしている。
駐車場の有無。地下鉄駅からの距離と環境。ショッピングセンターが近くにあるとか、薄暗いとか。
って、まずはスタジアムにチケットを買いに行かなければいけないから、そのときにだいたい把握してくるらしいけど。
そして、現場に着いたら自分はブラジル人だと思い込み(?)、つまりは、おどおどしないこと。周囲に溶け込むことが大切。せめて日系ブラジル人に見えるように。見かけというより態度がね。
サッカー会場では、みんな服はユニフォームだから、あまり貧富の差は際立たない。
派手なアクセサリーやメイクもみんな避けているし、バッグも持ってない。
(あ、男性は半ズボンがお約束よ、なぜか。ジーパンじゃないのよ。)
日本語をしゃべらずに、場慣れしてるような顔して歩いていれば、割と溶け込めるんじゃないかと思う。まぁ、気の持ちようが大切よね。
やっぱりそのくらいしないと、観戦ツアーや慣れているファンなどに頼らず個人で行くのは難しいんだと思う。
だから我が家も、他の方をお誘いすることは、まだちょっと出来ないのだ。
自分もよくわかってない状況の場所に、大事な友達を連れて行って、何かあったらどうします?
これは、サッカー観戦に限らず、なんだけれども。
そのことを思うとき、ブラジルって、治安の悪い国って、暮らしにくいなぁと感じるのである。
なんだかよくわからないシメになりましたが。
よっぽどお好きな方はどんどん観戦すればいいし、ちょっと興味がある人なら一度はあのスタジアムの揺れを体験してみるといいと思います。
ホントに揺れてましたよ、優勝決定戦。
こんなに素人な私だけど、またスタジアムに行こうかな、サントス応援しよっかな、って気になりましたよ。
(熱しやすく冷めやすいとこあるから、この思いはいつまで続くかは謎だけど)
あ、初心者の方々には、日系旅行社からサッカー観戦ツアーが時々出ていますし、人数が集まれば個人ツアー的に組んでもらえると思います。そのほうが安心と言えば安心。
スタジアムの揺れは体感できないかも知れないけれど、ね。
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先週、Ribeirão Preto(ヒベイラォン・プレット)という街で開催されたブラジル人女性人気アーティスト、マリーザ・モンチ(Marisa Monte)のコンサート鑑賞レポートを書きました。
日本でももうすぐコンサートを開く彼女、さすがの実力!素敵でした…。
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