5日目:不安定な心、一時帰宅


まだまだ下痢が続いている。
午前中、お腹の超音波検査を受ける。妊婦検診の超音波と同じことを1歳児にするのね…。
それで何を調べたんだろう。ポル語だからよくわかんない。一応、説明してくれてたようだけど。
ここの病院、全く日本語は通じない。そりゃそうだ、ここはブラジル。
英語もほとんど通じない。
だけどまぁ、使う言葉は決まっているから、私程度のポル語でもやっていけないことはない。
だけどだんだんそれにも疲れて来る…。日本語ならもっといろいろつっこんで質問できるのに。
ポル語でいちいち考えるのが面倒なのだ。そういう余裕が、ないのだ。


今日はひときわ機嫌が悪いな、と思ったら。
いつのまにか点滴の針が、しかるべき位置からはずれていたようだ。血管ではないところに、点滴液が入っていたらしい。
針の状態は外側からは見えない。なんたって、本人が管を触れないように、ガーゼでぐるぐる巻きにされているからね。
よく動いていたから、いつの間にかはずれたんだろう。
可愛そうに、また別の場所で針の刺し直しだ…(涙)


別の医師に、「腎臓が悪いようだけど、家族にも腎臓が悪い人がいるか?」と突然聞かれた。
腎臓が悪い?
そんなの生まれてこの方言われたことないですけど?
家族にもいませんけど?
ひいては、生まれたときに受けたはずの、triagemという検査結果を家から持ってくるように言われた。
その日の夜、家から持ってきたのに、結局提出は求められず…。な、なんなのよ?
ここの医者、言うことが時と場合によってまちまちだ。
尿検査するけど保険適用外だから実費負担になるけどどうする?と聞いておきながら、その後音沙汰なしだったり。
(いくらくらい負担になるのよ?と質問したら、確認しますから〜と言ったきり音沙汰なし。なんなのよ?)


体がどんどん小さくなっていくアレックス。当然だ。何にも食べてないんだもの。
とにかく便がもれるので、看護婦は、オムツのサイズがゆるすぎるせいじゃないか?と言い出す。
これまで使っていたのはG(体重9キロ〜12キロ程度のもの)。
今度から、ひとつ小さいサイズのM(7キロ〜9キロ程度)を使うように言われた。
オムツのサイズまで格下げされちゃうなんて…。


さらには、今日のお昼ご飯が届かなかったのだ。私の分がね。
担当者いわく、「今日はお昼注文されてないようですけど?」
っていうか、今日は注文取りに来てないでしょ?そういうと、あぁ、忘れてました…だと。
すぐに一人前お願いしますっ!!と頼むも、30分待っても来ない…。
催促して、やっと1時半ごろ届いた。
うーーー。食べ物の恨みは大きいわよーーー。


そんないろんなことが重なり、なんだか私の心も不安定になる。
なんだか、とても悲しく、不安で…涙が自然にこぼれる。
本当にいつか良くなる日が来るのだろうか?
このまま、この病院で、いつまでもいつまでも過ごすのだろうか。
生きて帰れるのだろうか。


どんどんブルーになる…。


そんな中、夕食時、アレックスが少し食欲を取り戻したように見えた。
チキンや野菜スープ、ご飯、モモのジュースなどを数口ずつ食べた。いい傾向だ!
と、喜ぶのもつかの間。
その後、口から薬を飲まされ(入院後初めてのことだ。これまでは点滴管から投薬していたから)、そのはずみでせっかく食べたものをすべて吐いてしまった。
あああ。しばらく嘔吐はおさまっていたのに。なんてこと。
しかもせっかく食欲が戻ったのに。


悲しみにうちひしがれていたら、午後8時ごろ、コイとダンナが病院に到着。
今日は私が自分で家に帰って、必要なものを取って来ることにしていた。
ダンナに引継ぎをし、私はタクシーでコイを連れて一時帰宅した。
身の回りのものを整え、5日ぶりにパソコンを立ち上げ、日本の家族に状況報告のメールを出した。
そしてこのブログにも、ちょっとお休みします、と書いておいた。
いつ、復帰できるだろうか…このまま停止し続けるのかな…
ブルーな気持ちが続いたまま、とりあえず自宅のシャワーを浴び、身支度を整え、またタクシーで病院に戻った。
あぁ、でもやっぱりおうちはいいねぇ。ほんの1時間半の一時帰宅だったけど、少しブルーはおさまった、かな。
もう少し頑張れそうだ。