1日目:点滴生活はじまる


これで3日間連続でこの病院に来ている。だけど診てくれる先生はいつも違う先生…。
とりあえず今の状態、脱水が始まっているから点滴を…ということをまず告げる。
これまでは、症状を淡々と伝えているだけだった。でも今日は違う。もうすでに大変な状態なんだ、点滴が必要なんだ、と訴えた。
診察した若い女医も、アレックスの状態を診て、これは点滴が必要だと判断したらしく、ほどなくして点滴ルームに通された。
2畳ほどのスペースに小さいベッドがあるだけの点滴ルーム、だけど一応個室っていうのがすごい。
そこでアレックスは手の甲に点滴針を刺され、検査用の採血をされ、続いて点滴をつながれた。
とりあえずこの点滴が終われば、きっとアレックスは元気を取り戻すはず。私たち大人がそうだったんだから、子どもの回復はきっともっと早いよね?
そんな風に思っていたのに、医師が告げた言葉は…「明日まで点滴を続ける必要があります」。
えええ、それって入院ってこと???
軽く動揺するも、そういえば脱水状態で2〜3日入院という話はさっきネットでも読んだしなぁ、そういうことかぁ、などとすぐに納得する。
正午に病院に到着して、これから入院生活を送る301号室へ通されたのは午後5時だった。
このときは、まさか1週間もここで過ごすことになるとは想像もしなかったよ…。


夕食に出た蒸しジャガイモと野菜スープを数口、口にしたアレックス。水分以外の「食べ物」を自ら口にしたのは3日ぶりだった。
食欲が戻ってきたのだろうか?
この調子なら点滴も明日ではずれるよね?


しかし…嘔吐こそしないものの、今度は下痢がひどくなっていった。
下痢ったって、そんじょそこらの下痢とは違う。モロに、水という感じで、しかも大量なのである。
当然、毎回、服とシーツを激しく汚す。そのたびに看護婦を呼び、オムツを提出し、シーツを取り替えてもらう。
夜中、2〜3時間置きに、それである。
2〜3時間置きに起きることは授乳で慣れてるけど、授乳とは大変さが違う。
しかも、お腹が痛いのだろう、大泣きしっぱなし。可愛そうに。
点滴で急激に水分を補給しているせいか、上下のまぶたがむくんで腫れて、ものすごい顔になっている。
目が細くなって、見えてるのか見えてないのかわからないような状況で、泣いて抱っこをせがむ。
見ているほうが辛くなる。