市内バスに乗ってみた


これまで、やってみようと思ったけどなかなか出来なかったことの一つ。…って書くと大げさだけど、それは、市内バスに乗ってみること。
サンパウロでは、バスがものすごーーく普及していて、まさに、庶民の足という感じで、そこここで大活躍している。
サンパウロには地下鉄もあるけれど、どの街でもそうであるように、地下鉄で行けるエリアなんて限られている。車のない私が、自力で移動するとしたら、地下鉄かタクシーしかなかった。
バスはスリも多いし、貧しい人もたくさん乗ってくるから治安などの面で心配、だから乗ってはいけません!と、しっかりお達しが出ている会社もあるとかないとか。
私も最初はバスなんて〜、怖いわ〜、とちょっとは思ってたけれど、結構周りの友達が普通にバスを利用しているんだよね。駐在妻も、永住妻も。
街にも通りにもだいぶ慣れてきた今日このごろ、タクシーで行くにはちょっと高いよなぁ、と思える眼科に行くために、いつかはバスデビューせねば!と思うようになっていたのだ。
で、今日は単身で移動できる状況だったので、思い切ってバスを使ってみることにした。


しかし…。
バスって…。
あまりに、難しくないですか???


まず参考にしようと開いたのが、この本。一応、サンパウロのバス、というタイトルである。
去年、Guiaという地図本を買ったときに、オマケとして付いてきたものだ。いつか使うかも…と取っておいて良かったぁ、と期待度満点で開いてみたら。
なんなんだこれはっ???
バスの路線情報だというのに、なんと、地図がないんですよ、地図が。
あるのは、市内をおおまかにエリア分けした、なんともアバウトなカラーマップのみ。西部、東部、北部、みたいな分け方。
そこには1本の線も引かれていないよ。エリアをまたいで走るバスもあるだろうよ?
このマップが何の意味を持つというのだ…。

とりあえず先に進んでみたら、またしても唖然。
バスの路線番号がずらーーーっと並んでる。
その先に、ようやく、路線番号ごとのバス情報が掲載されているわけだけど、これがまた…。
一応、始点と終点名、始発と終発時間、巡回ルートが書かれてるんだけど、通りの名前がずらずらと並んでいるだけで、素人が見たら何がなにやら全くわかりませーん。
これは…たとえポル語堪能なブラジル人でも大変だろうよ、目的のバスを探し出すのは。
なんたって文字が辞書並みに小さいんだよね。
とてもじゃないが、開いて1分で挫折しましたよ、ええ。この本は頼りにならん!!!

そして今日、とりあえず大きな通りに出て、人が集まっている大きいバス停に立ち、次々に通り過ぎるバスの表示を目を凝らして見てみた。
お、目的の場所に近いショッピングセンター名が書かれているぞ、これに乗っちゃう?なんて迷っていると、もうバスの扉は閉まり、走り過ぎて行った。は、はやいのね…。
ボヤボヤしてたらバスになんて乗れないねぇ。
そして次に同じバスが来ることはなかなかないのであった。本数が結構少ないのかな。
診察の予約時間が迫ってきたので、行きはバスを断念し、地下鉄で病院に最も近い駅まで行き、結局そこからタクシーに乗った。
それでも自宅から行くより7ヘアイスくらい安く上がったから、まぁいいか。


で、帰りこそは!と、病院近くのバス停にて、行きと同じようにバスの行き先看板をじーっと見てみた。
うーん、聞いたことがないところばっかりだぞ。経由地もバスのボディに載ってるんだけど、うーん、時々知っている道も出てくるけど、その道のどのあたりを通るものか想像がつかないよ。
うーんうーん。
しばし待ってみて、なんとも自信がなくなってきたので、少し通りを歩いてみた。すると数メートル先にまた別のバス停があり、そこにも先ほどと同じくらい多くの人がバスを待っていた。
ってことは? バス番号によって止まるバス停が微妙に違うんですね?
こ、これは難しい…。


だけど、ここでは、よく知っているメトロの駅行きのバスが何台も通過した。
本当はダイレクトに最寄のメトロ駅に行けるバスを探したかったけど、10分くらい待ってそういうのは見かけなかったので、最寄り駅より4つくらい南の駅が終点だというバスに思い切って乗ってみた。
経由地も、知っている地名ばかりが載っていたから、もしおかしな場所に行っても、全く未知の世界ということにはなるまい…と。
バスによっては立っている人がたくさんいる、混雑バスもあったけど、私が乗ったのは幸いすいていた。一人、先に乗るお客さんがいて、その人にならって中で2.30を払い、ゲートを通って中に入った。
バスの中に、チケット入場口みたいな、一人ずつバーが回転して中に入れるゲートがあって、脇に料金を集めるお兄さんがいるのね。
で、お兄さんに代金、一律2ヘアイス30センターボ(約120円)を払えば、ゲートを通してもらえるというしくみなのだ。
ゲートの前にも座席があったけど、あそこは、いわゆるシルバーの無料パスをもっている人のための席かな?
ともかく、初めての割にはスムーズに乗り込むことができた。さぁ、あとは、周りの風景に注意して、終点に向かうのみだ。


バスは、大きな通りであるブリガデイロ・ファリア・リマを通り、イタイン・ビビ地区を抜け、ショッピングイビラプエラの近くを通り、モエマ地区を抜けて、ヴィラマリアーナ方面へと向かった。
いわゆる高級住宅街を中心に回っていたから、客層も良かったんだと思う。こぎれいなお姉さんや白い肌のおばあさん、男子学生風のお客さんが多かった。怖い雰囲気は全然感じなかった。
地下鉄と変わらないじゃん?思ったより大丈夫じゃん?なーんて、余裕で乗ってたけど、これは路線によるんだろうな…
東京でも、路線によって客層や雰囲気が微妙に違うもんねぇ?
そして走ること約40分で、ようやく終点のサンタクルーズ駅に到着した。はー、長かった。
車で走れば15分くらいで着く距離なのにね、やっぱり住宅街をあちこち回っていたから、かなり遠回りしてるんだろうな。
そしてみんな、バスを利用する人は、こんなふうにぐるぐるしながら目的地に辿りつくんだな。
うちに来てくれているファシネイラとかババさんとか…。
混んでいるときは本当につらいだろうな。


終点でみんな降りたので、私も迷うことなく下車できたけど、これ、途中で降りたいときは難しいだろうなぁ。
一応、ブザーを押して運転手に知らせるみたいだけど(日本と同じね)、そのタイミングというのも慣れるまで難しそうだ。
だけど、乗ってみれば意外と平気じゃないの、バスも。
ちゃんと使える路線を把握して、乗り降りする場所を把握しておけば、必要以上に怖がって避ける必要もないんじゃないかなぁ?
もちろん、めちゃめちゃ治安の悪い場所を通るバスとか、乗る時間帯などは考えないといけないけど。
私も、もし大混雑ですし詰め状態だったら絶対乗らないぞ、と決めていたし、知らない場所を通りそうなものはやめておいたし。
それにしても、ある程度、通りの名前とか地区の位置関係は頭に入れてからじゃないと難しいかな。
私も滞在1年ちょっと、ずいぶん車で市内を回ったから、そろそろバスも乗れるかも…という気にやっとなれたんだもの。


さて、帰宅して、今回乗ったバス番号を例の本で調べてみたら…
なんと。
そんな番号は載ってないじゃないのーーー!
去年と番号が変わったのか?それとも???
ちなみに番号は8−3814だったんですけど。どなたかご愛用の方、いません?
そして、乗ってみたかったバスの番号、5−1085だったんですけど、どなたかご愛用の方、いません?
そもそも、ここをご覧になっていて、バスを利用されている皆さん、一体どうやって目的のバスを探し出したのですか??
やっぱりどなたか慣れている方に案内してもらうのが一番、よね?
次からのスムーズな路線探しのためにも、バス情報、ぜひよろしくお願いします…。


なお写真は、ヘボウサスとファリア・リマの交差点にあるバス停。
ちょっとアーティスティックな、赤い曲線がチャームポイントのバス停であります。
ちなみに、こういう立派で一目でわかるバス停は、2車線以上の大きな通りにしかなくて、普通の住宅街なんかだと、青い棒が1本立っているだけだったりします。
初心者は絶対、あれがバス停だなんて思えない!(写真、今度撮っておこう…)