子連れパタゴニアは大変だったのだ(パタゴニアその⑩)


今回のパタゴニア、乳幼児、幼稚園児ならびに還暦両親連れの旅だったわけだけど、
それがいかに大変だったかを総括したいと思う。


なお今回は、サンパウロの日系旅行代理店に手配してもらった、ブラジルのパッケージツアー会社が設定しているツアー(まぁ個人手配に近いけど)を利用した。
こちらからは日程と行きたい場所(氷河とペンギンは必須)を告げたのみ。飛行機の時間帯や日程、ホテルや含まれる一日ツアーの内容はすべてブラジルツアー会社におまかせ、というもの。
とりあえず、送迎や一日ツアーの際についてくれるガイドさんは、英語の通じる人にして欲しい…というお願いだけはしておいた。
なんせ、ポル語ではない、スペイン語の国だからねぇ。


で、この旅の何が大変って、まずは言葉。
英語がペラペラで、何の違和感もなく頭が英語に切り替わるレベルの人なら何も苦労はいらなかtったと思う。
なんせ、さすが世界の観光地、どこへ行っても、空港でホテルで観光地で…だいたいスタッフは英語を話すのだ。
だから、とりあえず私も相手の言うことは理解できる。一応、英語は大学までずっと勉強していたし、社会人になってからも数年間NOVAに通っていたからね。
しかーし。自分の口から英語が出てこないのよぅ…。これが、ほんと、くやしいくらいに。
出てくる外国語はポル語になっちゃうのだ。数字のファイブが言えなくて、ポル語のシンコが先に出てきちゃうのだ。
情けないというか、なんというか。
その状況って、結構キツイ。だってね、私以外のメンバーは誰も英語を話せない。日本語しか話せない。コイのポル語も、スペイン語圏のここでは役に立たない…
したがって、私の英語レベルがどうであれ、私がとにかく頑張らなければ前に進めないのだ。ホテルでも、レストランでも、どこでもここでも。
ブラジル国内旅行ならば、今はポル語でだいたいのことは済ませられるようになったけど、ここまで英語が出てこなくなっちゃうとは。


2〜3日して英語が少しづつ私の中に戻ってきて、なんとか中学生レベルくらいには話せるようになったとしても、
たとえば小さな売店とか、庶民的なレストランとかでは、スペイン語しか通じなかったりして。
これも結構ストレスで。
ポル語とスペイン語は似ているから、ブラジル人とアルゼンチン人はお互いの言語で理解しあえる…ってよく言われるけれど、それはお互いにネイティブな状態だからこそなせるワザ。
私のようなヨチヨチ歩きのポル語と、ネイティブアルゼンチン人では、そりゃ無理ってものでしょう〜。
ああ。言いたいことが言えないってつらい。言葉って大事。
ブラジルでなら、あぁもう自分が話すのが面倒!ってときに、「もう!あなたが話してよっ!」とダンナに当たれるけれど、今回はそれが出来るメンバーが誰一人として存在しないわけだ。
ふぅ。疲れた…。


次に大変だったのが、団体バスでの長距離移動。
話には聞いていた。パタゴニア旅行は移動が大変だから、子連れには厳しいかもね〜って。
だから今回は、パタゴニアと言っても氷河だけ&バルデス半島だけ、ってことで、いわゆる広大な南部パタゴニアを巡るコースは避けたのだった。
ところがだ。やっぱり、氷河だけと言ってもバルデス半島だけと言っても、広いことは広いのだ。パタゴニアと名がつくところの広大さは、やはり尋常じゃないのだ。
これが、完全個人手配旅行で、移動をすべて貸切バスで出来たとしたら、そこまで苦労はなかったと思う。
なんせ、毎日400キロ近い道のりを、団体バスで移動だ。狭いバスの座席で、幼児が何時間も黙っているわけがない!
コイもアレックスも車内ではよく眠るほうだけど、さすがに400キロずっと眠っているわけではない。起きているときは泣くこともあるし、大声で歌いだすこともある。
一緒にバスに乗っていたお客さんたちは、おおむね温かい目で見守ってくれたけど、みんなだって長距離移動で疲れてて眠いし、ガイドの話をしっかりと聞きたいし。
子どもがちょっと声を出すと、あからさまに睨む人もいた…。そ、そうだよね、せっかく遠くまで来た旅行だもの、子どものせいで嫌な気分になりたくないよ。
それが私たちも痛いくらいにわかるから(自分が逆の立場だったらと思えば、ねぇ)、とにかく他のお客さんに迷惑をかけまいと、大人一同、必死でなだめる作戦…。これが非常に疲れた。気苦労がね。
道路は整備されていたし、バスも新しくて快適だったから、バス移動自体は悪くない。
だから、自分で状況を把握して、おとなしく座っていられるくらいの子どもだったら、パタゴニア旅行はへっちゃらだと思う。


ちなみに、観光スポットでの赤ちゃん・幼児連れというのは、特に大変ではなかった。
アレックスは、ベビーカーで歩けるところはベビーカーで行ったし、階段の多いところはおんぶっこバギーで背負ったし。重かったけど。だってもう10キロ近い体重があるから。
でも他には子連れってあまり見かけなかったなぁ。ま、バカンスシーズンでもないしね。
退職した悠々自適のシルバー世代ご夫婦がとにかく多かった。世界各国から。


…というわけで、添乗員で、通訳で、乳飲み子の母親で…という状況の私にとって、今回の旅は結構ハードだったのだ。
終わってしまえば、いろんなハプニングも、いい思い出なんだけどね。
おおむね治安も良かったので、ブラジルほど気を張って過ごさなくて良かったのは、いい点だったかな
それに、大人の手が多かったからこそ、こういうややハードな旅にも挑戦できたのだ。子どもの数より大人の数が上回るってのは、やっぱり何かと便利なのだ。
そんなチャンス、なかなかないからね。今回は、ハードな行程に文句も言わず着いて来てくれて楽しんでくれた(しかもほとんど子守りを担当してくれた)我が両親には、本当に大感謝!である。



なお、サンパウロ在住の日本人向けに、毎年年末年始にパタゴニアツアーのいいのが出ていますよ。
なんでも、サンパウロから日本語ガイドさんがついて回ってくれるんだそう。
家族連れも多いだろうから、精神的にも気楽に旅行できそうね。もし年末年始に休みが取れるのであれば、その時期にパタゴニアを狙うのがベストかと思われます。
(うちは年末年始、3日間しか休めないブラジル式の会社なので…そのツアーは一生無理なのだ。)