ブエノス・アイレスはすごくいい!半日市内観光とタンゴショー(パタゴニアその⑧)


快晴のトレレウ空港を後にして、旅の終盤はアルゼンチンの首都、ブエノス・アイレスに向かった。
飛行機の乗り継ぎの関係上、どうしてもパタゴニア観光ではブエノスアイレスで前後1泊もしくは2泊しなければならないパターンが多いらしい。
でも私たちは、できれば1泊と言わず2泊か3泊したかった。
というのも、ブエノスに行った人は皆、口を揃えて「ブエノスはいいわよ〜サンパウロとは全然違うんだから!!」と強力にオススメしてくれるのだ。
どこがどんなに違ってて、どこがどんなにいいんだろう…。そのあたりをしっかりとこの目で確かめたかったから、1泊じゃなくて何泊もしたかった。


国内線の空港に降り立つと、今度は大型バスではなく、私たち家族専属のバンと英語ガイドさんが迎えてくれた。子どもが3人いらっしゃるようには見えない、可愛らしい40代の女性ガイドさん。
車が貸切だというだけでホッとする私たち…。ここまでの旅行では、他のお客さんに迷惑がかかってはいけないと、ぐずるアレックスや大声でしゃべるコイをたしなめることにかなり神経を使って疲れたからね…。
今度は多少うるさくても、私たちだけだから大丈夫だ。


まずはホテルにチェックインするため、中心街へと車は走る。
とにかくだだっぴろい、何車線あるの?とその規模にびっくりする9月7日通りにまず感動し、中心街に立ち並ぶクラシックな建物に感動し、あぁ本当だ、ブエノスはサンパウロとは全然違う!!とすでに実感。
何ていうのか、ヨーロッパからの移民がもたらした建築物が、今もそのまま残されているんだね。
ゴシック建築というの?ルネッサンス様式というの?そのあたり詳しくないのでよくわからないけれど、とにかく、ここはヨーロッパみたいだ。
いちいち建物を見ては、はぁ〜ステキねぇ…とため息がもれちゃうのだ。
季節は初夏、古く白いビルの壁に、紫のジャカランダの花が映えてすごく美しかった。

ホテルは地下鉄駅のすぐそばにある、モダンで新しく気持ちのいいホテル。NHホテルチェーンのひとつだった。
なぜか、かなり上の階のコーナースイートを1室あてがわれ、いきなりリッチな気分に…。
バルデスのホテルがかなりダメダメだっただけに、これはうれしい配慮だねぇ。たまたまかも知れないけど。
フロントのお兄さんもかっこよくて英語が上手いんだよなぁ。洗練されている感じで素敵。
窓からの眺めも、通りが見下ろせてなかなかいいよ。


荷物を部屋に置いて、遅めのランチをとりに、すぐ目の前のカジュアルなカフェのようなところに入った。ここもさりげなく時代を感じさせられる、昔からのカフェみたい。
こういうのがサンパウロにはあまりないよね…。
日替わりランチから何品か選んだ。卵と野菜の肉巻きのようなものは、ブエノスの名物のひとつだとか。ビールのおつまみに合いそうな美味さだった。

 

午後3時にホテルロビーにガイドさんが迎えに来て、市内観光へと出かけた。貸切バンで、主に車の中から名所めぐりをするといった感じ。
ピンクパレスみたいな大統領府とか、大聖堂など堂々たる建物が立ち並ぶセントロ…
近代的なビルを臨み、倉庫群をレストラン街に改装したプエルト・マデーロ…
タンゴ発祥の地で、小さな可愛い手工芸品の店が並ぶボカ地区… などなど、ブエノスの見どころといわれる主な地区をひととおりぐるっと回った。

 
途中、大聖堂の中に入ったり、カミニートの店に入ったりする時間を少しとったけど、ほとんど駆け足で巡るにすぎなかった。
全体的に、落ち着いてて、歴史を感じる風景がそこここにあって、こぎれいで、すごくいい都市のように感じた。ほんの一瞬ずつしか見ていないからなんとも言えないけど、第一印象はすごくいい街だね。
ゆっくり、それぞれの地区を巡りたいな、いつか。(よさそうなレストランもたくさんあったし→ソトメシのことを常に忘れない食いしん坊)

6時前にホテルに戻り、次に向かうタンゴショーへの集合時間まではフリータイム。
夕食時だったので、両親たっての希望で、日本食レストランを予約した。牛肉で有名なアルゼンチンですき焼きを食べよう!というプランだ。
ホテルからレストランまではタクシーで移動しようと思った。確か15分もあれば行けるはず、と、予約の30分前にフロントでタクシーをお願いしたら…
なんと、今は雨が降っているから呼んでも30分待ちだと!!
そんな遅いんじゃ予約に間に合わないよ! 


だったら通りで流しのタクシーを拾います…と、意気込んで外に出たら結構激しい雨だよ。そして全然タクシーが通らない、通ったと思ったらみんなお客さんを乗せているよ。
こりゃとんでもないことになった。だったらやっぱり少し待ってでもホテルにお願いしようか、と再度フロントに予約を頼むと、なんとタクシー会社、電話応答ナシだという。
こ、これはもう、自力でつかまえるしかないですね?
雨の中、少しホテルから離れて、映画館や劇場が立ち並ぶ賑やかな通りでタクシーを探した。しかしやっぱり、全然つかまらない…。
サンパウロならば、タクシーポントといって、タクシー乗り場が町のあちこちにあって、いくら雨でも全くナシってことは少ないからね。タクシーひとつでこんなに苦労するとは
想像もしなかったのよ。


探すこと40分、ようやく、劇場前でタクシーを降りる人がいるのを発見。すかさずそのタクシーに乗り込んだ。あぁ、なんて時間のロス。
こうして、やっとの思いでたどり着いた日本食レストランは、その名も「日本橋」。
南米に魅せられた東京出身のご夫婦が15年ほど前に始めたんだそうだ。掘りごたつ席があり、和服のお姉さんがすき焼きを作ってくれる、純日本風の高級店であった。
あぁ、やっぱり和食はいいねぇ。両親じゃないけど、私までふーっと肩の力が降りるよ。日本語で注文できるっていいねぇ。


そしてこのすき焼きが、ものすごーーーく美味しかったのだ。
アルゼンチンビーフは美味しいね。柔らかくて適度に脂が乗ってて。すき焼きのタレもすごく美味しい。ブラジルのしょう油と違うのね、あの独特の甘さが感じられないから。
とにかく、久々の白いご飯と、あまりに美味しい肉に感動し、タクシーの苦労など吹っ飛ぶディナーであった。
タクシーの時間ロスのせいで、予定より滞在時間が30分以上短くなったため、急いで食べなきゃいけなかったのが心残り…。雨さえ降っていなければ、ねぇ。


大急ぎでホテルに戻り、今度はタンゴショーに出発だ。あぁ忙しい、ブエノス1泊2日。
もちろん子ども達も連れて、だけど時間も時間だから、2人とも会場に着くや否やおねんね…。ある意味、親孝行である。
おかげで大人たちは、赤ワインなどを傾けながら、ゆっくりとタンゴの夕べを堪能することができた。


今回連れて行ってもらったのは、タンゴの神様と言われるかなり有名なタンゴ歌手、カルロス・ガルデルにちなんだショーハウス。
10時から始まるはずのショーは、10時半過ぎに開始。やっぱり南米だねぇ、ここも。
バイオリンの音色が切なく響き、おぉ、これぞタンゴ!と生演奏に唸る。ステージの高いところにタンゴバンドがいるのだ。
そして艶っぽい男女が何組も登場し、タンゴらしいステップを次々と披露してくれる。
よく足がからまないわねぇ、と感心するよ。とにかくよく動くのよ、足が。
そしてときどきアクロバティックな決めポーズが入る。ときどきセクシーなポーズも入る。
サンバとはまた違う色気があるねぇ。

 
かれこれ2時間くらい見ていただろうか…
実は、これまでの旅の疲れもあり、タンゴのけだるい音楽トーンも手伝って、ときどきウトウトしてしまった私たち…。
素敵なんだけど、ちょっと私たちには長かったかな、正直。
終演後、まだまだ眠る子どもたちを抱いてバンに乗り、ホテルに戻ってバタンキュ〜(死語?)。
長い長い一日だったなぁ。