クジラとアザラシに出会う旅(パタゴニアその⑤)


バルデス半島観光初日は、団体バスに乗って半島めぐり1日ツアーに参加。昨日の強風はどこへやら、青空が広がる快晴だよ。
だけどガイドさんはフリースを着込んでいる…もしかして寒いところへ行くの?慌てて部屋にフリースを取りに戻り、わたわたとバスに乗り込む。
今日のバスもお客さんでいっぱいだ。ホテルの朝食会場も混み混みだったしねぇ、観光シーズンなんだねぇ。


バスではアルゼンチン人ガイドさんが、スペイン語と英語で案内してくれる。
しかしバスを見渡すと、我々以外は皆、スペイン語圏の人たちのようだ。英語は、私だけのためだった。申し訳ないですね〜。
8人ほどの団体で来ていたのは、カナリア諸島からのお客さん。カナリア諸島って?一体どこ?という感じでポカンとしていると、アフリカの近くのスペイン領の島だと教えてくれた。
スペイン語の国はたくさんあるからいいねぇ、旅行先で言葉に苦労せずに楽しめるエリアがたくさんあるってことだ。
それに比べて日本人は…どこに行くにも言葉が大変だよねぇ…。
バスの中ではときどき英語ガイドの内容を両親に日本語で伝えたけど、ガイドさんはスペイン語・英語を次々にしゃべるので、私が日本語訳している時間など存在しないのだ。
スペイン語中に日本語しゃべってたら、他のお客さんににらまれちゃうからね。
そんなわけで、結構興味深い話が出ていたんだけど、うちの両親はほとんどわからないままであった。もったいないけど、仕方ないねぇ。


バスはひたすらバルデスの大平原を走る。どこまでも広がる草原の風景…果てしないなぁ。
途中、草原にパタゴニア特有の動物達が顔をのぞかせる。
大きなウサギみたいなのとか。

チョイケというダチョウの一種とか。

グアナコという、シカみたいなラクダみたいな動物とか。(これに会いたかったのよ〜!!)

以前行ったブラジルのパンタナルで動物探しをしたのを思い出した。それと同じ感じで、大平原の車窓をじーっと眺めていると、やっと少し、動物が見つかるといったところ。
これだけ広いんだもの、動物数が多いといっても、どこに現れるかはわからないよね。
バスの運転手さんやガイドさんは目が慣れているから、動物を見つけてはバスを停め、説明をしてくれた。



ひたすら走ること約2時間ほどで、最初の観光スポット、プエルト・ピラミデに到着。
ここではクジラウオッチングを楽しむのだ。
すでに観光バスがいっぱい…。環境保護の観点から、一度に2そうの船しか海に出てはいけないので、お客さんが多いシーズンには、少し船に乗るための順番待ちが発生する。
私たちも30分ほど待って、ようやく船に乗れた。
ここは景色自体が素晴らしい。快晴ということもあって、海の色が本当に美しい。
プエルト・ピラミデのピラミデとは、いわゆるピラミッドのこと。海辺の風景がピラミッドに似ているのだ。これもまた素敵で、なかなかない光景だと思った。


船には大げさな救命胴衣を着けて。子ども達にももちろん。
だけど今日は風も波もないので、本当は必要ないけどね〜、なんて船のおじさんは言っていた。
ちなみに、強風で波が高い日も結構多く、そんな日は欠航になるんだそうだ。今日はいい日でラッキー!!
船は大きなトラクターのようなもので引っ張られ、海から出たり入ったりしていた。おもしろいなぁ。


さてこの船も満員である。クジラをよく見ようと、船べりにはカメラを構えた各国の観光客がびっしり。
最後のほうに乗り込んだ私たち家族は、なかなか船べりまで近づけなかったけれど、それでもよく見えたよ、巨大なクジラの姿が…
船に乗ってすぐに、まず1頭目のクジラを発見。
っていうか、これがクジラ??? 水面から少し背中が見え隠れするだけのクジラだったので、あまり実感が沸かず。
こんな感じ。

こんなもんかー、これって観光用のクジラじゃないの?なんて疑っていると、遠くの海を指差して「おおー!」という声が。
指の先を見ると、おお、クジラがジャンプしているではないか!!
このクジラ、お腹が白くて、背中が黒い。何て言う種類だったかなぁ、英語では説明されたんだけどメモするのを忘れてしまった。
ちょうど授乳期だそうで、親クジラの側には子クジラがいて、ときどき母さんの下をもぐったり、親子でしっぽ(?)を水面にバタバタさせたりしていて、なんとも微笑ましかった。
なかなか写真にうまく収められなかったのが残念。やっぱりこんなときは、シャッターがすぐに切れる、望遠つきの一眼レフが欲しいなぁ。

英語圏のお客さんからは「オオ〜ファンタスティック!!」なんて声も漏れたりして、皆さん大満足の模様。
よく注意してみていると、あっちの海でもこっちの海でも、ジャンプしたりしっぽを出したりしているよ。
こんなふうにクジラは暮らしているのね…。自然ってすごい。

バスに戻ると、簡単な軽食(サンドイッチとミネラルウォーター)が用意されていた。
そしてまた移動である…。とにかく広いパタゴニア。観光スポットから次のスポットへの移動が、なかなかに大変なのである。
今度はゾウアザラシの生息地だ。
バスから降りて、海への遊歩道を歩くと、さっそく海辺に見えてきたよ、ゴロゴロ寝そべる巨大なボディが。


海辺まで降りることは禁じられているので、至近距離に寄ることは出来ない。
だから肉眼では、まさにゴロゴロ状態を見るだけだけど、双眼鏡で顔を覗き込んでみたら…なんともユニークで気持ち良さそうな表情で日向ぼっこをしているよ!
これも、望遠レンズつきカメラがあればよかったんだけどねぇ…。デジカメの3倍ズーム程度じゃ無理無理。
教訓、パタゴニア観光には望遠レンズカメラと、双眼鏡は必需品!!

そういえば江ノ島水族館のアイドル、ミナミゾウアザラシみなぞう君は昨年死去してしまったんだったなぁ。
ミナゾウ君は、こういう海がふるさとだったんだなぁ…。
ミナゾウ君の後継者は、えのしま水族館に来たのだろうか。ふと、そんなことを思ってしまった。


さてさて、ここも小一時間で後にし、次はペンギン生息地へ。
またまたバスだよ〜、と思ったら今度は割と近いところだった。ホッ。
ここのペンギン、柵のすぐ向こうにヨチヨチと歩いていて可愛い!アレックスも、動く物体に興味シンシンで、「あっ!あっ!」と言いながら指を差している。
そうか、指差しが出来るようになったのね〜、と、こんなところで知る母親である。

ペンギン生息地はほんのちょっと立ち寄っただけで、すぐにまたバスに乗った。
ペンギンは明日、別のスポットでゆっくり見学するからねぇ。
バスはまたひたすら大平原を走りぬけ、途中、トイレタイムに立ち寄ったクジラの骨展示館で少し停まっただけで、あとはひたすらホテルを目指した。
本日の走行距離、なんと400キロだそうだ。ひぇぇ。
なんたってバルデス半島は、奈良県と同じくらいの面積があるんだって。そりゃ移動が大変だよねぇ。
恐ろしいことに、明日も同じくらいの距離をバス移動するんだって。ひぇ〜。
結構体力勝負の、バルデス観光なのである。