ぼやぼやできない車優先社会

サンパウロに住んでいると、「ボーっと歩く」ということがまず出来ない…。
これは、一つには、ボーっとしてると泥棒に狙われるという防犯面があるけど、
もう一つには、恐ろしいほどの「車優先社会」であるという面がある。
ボーっと歩いてると、間違いなく車にぶつかっちゃう(ひかれちゃう)というわけだ。


日本だと、誰かが通りを横切ろうとしていたら、車の方が止まってくれるでしょ?
いわゆる歩行者優先の精神が浸透してるでしょ?
これがブラジルだと正反対なのですよ。
なんたって車が優先なんですよ。


ちなみに、信号のある交差点というのは、よっぽど大きい通りとか交通量が激しい通りにしかないのだ。それは日本も同じかも知れないけど、信号のない交差点の怖さは、日本の比ではないのよ。
たとえばこんな感じの交差点になっている。


交差点の真ん中部分に、丸く円が描かれているでしょう。ここが小さいロータリーの役目を果たしていて、四方から走ってくる車がこの円に沿って走り、自分の行きたい方向へと進んでいくわけだ。
まっすぐ進む車あり、右折する車あり、左折する車あり、はたまたUターンする車あり…
それはもう複雑怪奇、よくこんなんで皆ぶつからずに行きたい方向へ行くよなぁ、と、車を運転しない私には驚くばかりである。



こんなふうに四方から車がどんどん来て、ウインカーも着けずに突然曲がってきちゃったりするから、それはそれは恐ろしい。
しかも、そのうえ、車優先社会。人間が数歩、交差店内に進入してきたからと言って容赦しない。ハイスピードのまま通り過ぎようとする。
私も、何度ヒヤッとしたことか。


さすがに妊婦だったときは、少しは車も容赦してくれたような気がするけど、
たとえ幼児の手をひいていようが、ベビーカーを押していようが、歩行者優先なんていう考えには到底及ばないドライバーが本当に多い。


だからといって、車が全然来ないところを見計らって渡る…なんて悠長にいつまでもたたずんでいたら、
それこそいつまでも渡れないのも事実。
車社会のサンパウロ、完全に車が途切れるタイミングなんて本当に少ない。
だからいつも、「それ、いまだっ!」と掛け声をかけんばかりの勢いで、
車の来ない一瞬のスキを狙って、道を渡るのである。


車が走る方向も、日本とは左右逆だから、そこんとこも注意して左右確認しなければいけない。
日本から観光に来る人に、まず知っておいて欲しいのは、左右逆・車優先社会ということ。
それと、防弾車というのもたくさん走っている。これがまた重厚なつくりで、人にぶつかった時の威力は普通車と比べ物にならないほど、ものすごいらしい。
間違ってもそんな車にぶつかっちゃいけない。


ボーっと携帯でしゃべりながら道を横切る、なんてことは間違っても出来ない。
本当に本当に危ないからねぇ。