さよなら幼稚園

今までコイがお世話になった現地幼稚園が、本日、7月いっぱいを持って閉園となった…。


これは結構急な話で、先月末、初めて父母会に出席したときに明らかになったのだ。
父母会自体、初めてのことだったし、今頃なんで開かれるのかなぁと思って出席した。
最初は、各クラスの子供たちの様子が先生から伝えられ、
「コイはポルトガル語もわかるようになったし、元気もいいし、大変よろしい」のような
ことを言われた。そしてこれまで作った図画工作などを渡されたりした。
と、その途中でアレックスが泣き出したもんだから、部屋を出て授乳していた。
すると先生が「コイのお母さんに伝えたい重要な話が園長からある」と呼びに来たのだった。
はぁ…もしかしてコイの素行が悪いとか? もう園から出て行ってもらいたいとか?
そういうことだったらどうしよう…と恐る恐る部屋に戻る。


するとなぜか、そこではお母さんたちが別の学校の話をしていた。
あそこはどうだ、とか、ここはどうだ、とか。なーんだ、ここを卒業した後の学校の話題ね、
と思ってたら、どうやらみんなの表情がおかしい。
話題の途中でポンと中に入って理解できるほど、私のポル語力はない。
唯一クラスにいる日系人のお母さんにことの成り行きを聞いてみたら…なななんと、
来月いっぱいでここが閉園されるというではないか。


その理由は、園長先生の健康問題ということであった。
年明けくらいに心臓の発作?よくわからないけど、とにかく心臓疾患で入院し、
今後またどうなるかわからない状態だという。
それで家族も仕事をもうやめるよう勧めていたという。もっと早く閉園すべきだったけど、
子供たちのことを思うとなかなか踏み切れなくて、今に至ったという。
園長はもうおばあちゃんと呼んでもいいようなお年頃、白髪で上品な婦人だったけど、
そういえば最近少しやせて元気もないみたいだったな…。


そんなわけだから、みんな、突然の閉園宣言に文句を言うでもなく、
淡々と次の幼稚園探しについて話している。
なんだか実感がわかないまま、私もその中に加わり、「コイにはそろそろ日本語の勉強も必要だからたぶん日系幼稚園に入れるだろう」などと言ってみたりして。


かわいそうなのはコイである。
ここには、入園当初からすごく仲良くしてくれている親友のマックスがいる。
コイが、どんな文字よりも先に書けるようになったのが、彼の名「MAX」である。
そのくらい大好きなマックスと離れ離れになるのはさぞやつらかろう…と、
この日の帰り際に、マックスのお母さんと住所交換をして別れた。


さてその父母会の日から、私はまた改めて幼稚園選定をするはめになった。
ほぼ1年前、来たばかりの頃にコイを連れて精力的に幼稚園めぐりをしたことを思い出す。
今度はアレックスを連れて、家の近所を中心に、日系・非日系それぞれ数件ずつ、回った。
やはり1年経ってから見る目は、去年のそれとはまた違う。見るべきポイントがわかってきているので、今回は絞り込みもまぁまぁスムーズだった。
でもまだ決定はしてないんだけどね…。


そして今日、幼稚園最後の日である。
だからと言って、何かセレモニーがあるわけでも、園からのお手紙があるわけでもない。
全く普通の一日。
私は一応、お菓子の箱を持って園長先生に挨拶に行った。言える限りのポル語で、
これまでの感謝の気持ちを伝えた。
園長先生と頬を合わせてブラジル式の挨拶をしたとき、ちょっと泣きそうになっちゃった。
大きなお腹を抱えて初めてここの門を叩いたときのことや、クリスマスの発表会のこと、
いつも家まで送ってくれた先生のこと…
いろいろ思い出しちゃってね。


コイ本人は割りとあっさりしたもので、明日から行く別の幼稚園のおためし入学を楽しみにしている。
なんてラクな?性格なんだろう…。
それに助けられていることが多々あるけどね。


ちょうど10ヶ月、お世話になりました。
ありがとう、Cashinha de Brinquedo.