子連れパンタナールツアー④カピバラに会いたい:パンタナル縦断道路ツアー

昨夜の旅程変更騒動から一夜明け、今日も雲ひとつない空!窓から覗く朝日がまぶしい。
ホテルの朝食を済ませ、8時過ぎにまたジューリオさんの車に乗り込んだ。
今日は待望のトランスパンタネイラ:パンタナル縦断道路ツアーだ。


ホテルからまたポコネの街まで45キロ戻り、ポコネからさらに南へ65キロほどのドライブ。
縦断道路の入り口には門があって、Policia Militar Ambiencia、その名も「環境警察」がそこを管理しているのだ。環境警察って…す、すごいネーミングだ。絶対ゴミのポイ捨てなんか出来ないような雰囲気だ(笑)


何を取り締まってるのかはよくわからないけど、とりあえず、常駐しているスタッフ(彼も警察官というのか?)が手動で門を開けてくれた。



門をくぐると、そこにはすでに白い羽が美しい大サギの姿。緑の湿原、緑の森に白い姿は本当によく映える。遠目からでもすぐ見つかるし、また個体数もかなり多いような気がする。


車を進めるにつれ、車窓に広がる緑の中に、ちらほらと動物の姿が見えてきた。
雨期には周囲の大部分が水につかっているという場所、乾期の今はすっかり水が引けていて、
ところどころが水たまり、もしくは大きめな池や沼…という状態になっている。
これから8月にかけて、水はもっと減るという。
この、水がある地帯が動物スポットである。


まず間違いなくいるのが、ジャカレー(ワニ)。今日もまったりのんびりと、水面から目だけを出して泳いでいたり、陸地で日光浴していたり。
ワニの山?と思えるくらい、うようよいる。だんだん慣れてきて「あぁ、ワニね」と流してしまうようになる(笑)


ワニのいる池の向こうは、水鳥たちの楽園。
カベッサ・セッカ(直訳すると乾き頭、コウノトリのことらしい)とか、トゥイゥイウー(日本語ではズグロハゲコウというそうだ。確かに頭が黒いが、ズグロって…)とか、大サギとかアオサギとか。
首がひょろんと長くてくびれている、美しい水鳥たちがわんさかいる。
自然ってすごい…。

この様子を見たコイ、「トゥイゥイウーの会議だね!」。
実はこの旅行に来るに当たって、日本から1冊の本を取り寄せて予習しておいたのだ。
パンタナルの冒険という絵本で、ポル語のおはなしCD付き。
日本語とポル語で書かれているので勉強のためにもいいかな…と思って買ったのだ。
ここに、トゥイゥイウーが会議をする様子が描かれていて、しっかりコイはそれを覚えていたんだね。
でも、この鳥たちの数… ほんとに会議をしているかのようだった。圧巻。

パンタナルの冒険 (CDブック 語学教育絵本)

パンタナルの冒険 (CDブック 語学教育絵本)

そしてなかなか難しいのが、コンパクトデジカメによる鳥類撮影。
なんせズームがろくにきかないし、鳥は当たり前のように飛ぶから、全然うまく写せないよ。
今回ほど望遠レンズ付きの一眼レフが欲しいと思ったことはなかったわ…。
かろうじて一枚、飛んでいるトゥイゥイウーの姿が収められたのでここに載せておく。



動物園で見るのと決定的に違うのは、何もさえぎるものがない広い広い空を飛ぶ、実に自然な鳥たちの姿をこの目で見られることだ。
きれいだったなぁ。大きな羽を左右対称に広げて大空を舞う姿。
カメラでは収められなかったけど、しっかり目に焼き付けたよ。



この縦断道路で見ることができたのは、圧倒的に鳥類が多かった。
だけど私たちが一番会いたかったのは、カピバラ
カピバラは、世界最大のげっ歯目、つまりネズミの一種。ビーバーに似ていて、ずんぐり体型がなんとも愛らしいのだ。
北海道での新人記者時代、私は「旭山動物園カピバラの赤ちゃん誕生」という、ほのぼのネタを執筆したことがある。その頃から親しんできた、私にとっては特別な動物だ。(そこまで言うのも大げさだけどさ)
ジューリオさんいわく、カピバラなんてどこにでもいるはずだよ、必ず見るよ…
しかしこの日、縦断道路を65キロ走ってもなお、一匹もその姿を見ることが出来ず。
残すは帰り道に期待するのみとなった。


ところが帰り道にも全然現れない。
その代わり、普段はあまり見ることがないとジューリオさんが言う「カワウソ」がいた。
水の中で、ラッコみたいに上手に手を使って、魚を食べていた。おもしろい顔をしていたなぁ!

ワニや水鳥も見慣れてきて、美しい桃色の花を咲かせるイペーの木(下の写真)を眺めたりしながら、
なおもカピバラをあきらめられず、カピバラカピバラとつぶやきながら窓の外に目を凝らす私たち。
なんでそこまでカピバラにこだわるの?とジューリオさんには怪しまれたに違いない(笑)


カピバラ横断注意の看板はいくつもあるのにねぇ…



と、しつこくカピバラカピバラ言ってたら、なんと!ついに発見したのだ!!
しっとりと水に濡れた豊かなボディを日の光にさらしている一頭のカピバラを…

これがカピバラなんですけど… 北海道の皆さんにはすっかりおなじみですね?
最近、旭山動物園には「かぴばら・くもざる館」もオープンしましたからね?
あ、あまり可愛くないですか? じっくり顔を見ないで、そのまるまるした姿をお楽しみいただきたいです。はい。


すっかり満足してホテルへと戻る途中、今度は思いがけなくオオアリクイに遭遇!
車の前を、大きなふさふさしたしっぽを揺らしながら横切って行ったのだ。
これには油断していた私たち、カメラを構える暇もなく、わーわーわーアリクイだぁぁ!!と大騒ぎして車の中から静観するのみであった。
本当に大きかった。横に2メートルくらいあっただろうか?口が長くて、しっぽがほうきみたいだった。
先日、サンパウロ動物園で見たばかりだったから、野生の姿をこの目で見られてすごく感動した。


結局、この日、縦断道路で見た動物は…
カピバラ、シカ、エミュー(ダチョウの一種)、ヤマイヌ、オオアリクイ、カワウソ、サル、そして水鳥いろいろ、それにアララ・アズー(青い大型のコンゴウインコ、とてもきれい!)。
ブラジルの象徴としてよくイラストのデザインになったりする鳥・トゥカーノには残念ながら出会えなかった。季節が悪いのかな?それとも地域的にここにはいないのだろうか。
それでも、これだけの野生動物を見られるなんて。
ほぼ日中丸一日、往復100キロ以上の道のりの中での発見数だから、これが果たして多いのか少ないのはわからない。
けど、これだけ広い広い自然の中の、ほんの一部分に過ぎない場所を通り過ぎただけで、これだけの生き物に会えるんだもの…。確率的には、すごいことだと思う。
やっぱり来れてよかった、縦断道路ツアー。(昨夜、ごねておいて良かった)


帰り道で見た、雲ひとつない空に沈むオレンジの夕陽も見事だった。
陽に照らされたアレックスの頬が、オレンジの実のように染まっていたよ。