リベルダージで観戦する、日本対ブラジル戦

すっかり昨日の応援疲れで、今朝なかなか起きられなかった私です…。
昨日の日本戦、我々家族はリベルダージに設けられた大型スクリーン付き特設会場で観戦した。
会社を3時であがるダンナを無理やり誘い(彼は自宅でじっくりと画面を注視しながら観戦したかったのだ)、地下鉄駅で待ち合わせし、子ども二人を連れて会場へと向かった。
地下鉄は帰りを急ぐ勤め人たちで大混雑、といっても東京の朝夕の通勤ラッシュには全然かないません。子連れで何度もラッシュを経験している私たちには楽勝。
地下鉄駅からは徒歩7分ほどの会場まで、我々は日本のユニフォームを着て歩いた。
もちろん、他には誰一人として青を来ている人はいない。すれ違う人みんな、黄色である。
いつもはブラジルカラーを好んで着用する私たちだけど、今日ばかりはなぁ。黄色い人を見るとなんだかつらい気持ちになった。
あぁ。どうしてブラジルと日本、同じ組に入っちゃったんだろうー。
違う組ならば、もっと気持ちよく日本の最終戦を応援できるのにー。
そんな思いをぐるぐるさせながら会場の体育館の中へ。


ここまで来ても、青い人は少ない。そうだよね、いくら日本を応援したくても、日本Tシャツなんてどこでも簡単に手に入るものじゃない。
ブラジルTシャツなら、それこそ、イヌも歩けば…じゃないけど、そのへんを歩いてれば売っている店に出会うものね。国民の制服化してもおかしくない販売環境。


そんなわけで、一応、日本応援団がメインの会場だけど、黄色い人も結構多い。
そして会場でひときわ目を引いたのが、和太鼓による応援団と、サンバ楽器による日本人応援団(ブンバの細川さんら率いるもの)。
会場中央に陣取り、試合開始前から賑やかにパンデイロなどを叩き鳴らしている。
そして周りに群がるテレビカメラたち… いったいどこにこんなにたくさんのテレビ局があるのよ?というくらい、物凄い数の取材陣。
GLOBO(ブラジル最大のテレビ局)なんて、生中継用の中継車まで出していたからね!

私たち親子もなんだか目立ってしまって、カメラが集まる集まる。
そりゃそうだよね、私とダンナはサムライブルー、コイは祭りはっぴに鉢巻、アレックスは黄色のブラジル服… 色彩的にも目立つでしょう。


さて、そうこうしているうちに大画面では国歌斉唱が始まった。
こういう場で鑑賞していると、なんとなく自分も国家を歌いたい気持ちになり、口ずさんでしまったら、それをまた撮影するテレビカメラ…。あああ。今日はもうカメラから逃れられないみたい。
ジーコがブラジルの国家を歌っているときは、私も複雑な心境だった。ジーコの胸のうちを思うと、なんだか切なくて。
ああ、どうしてブラジルと日本が同じ組になっちゃったんだろう…。と再び。


そして大歓声の中、試合開始。お、結構いいんじゃないの?ニッポン?よく動いているじゃん!
なんてわくわくしながら観戦してたら、突然ブチっと音声が途絶えた。開始間もない頃だった。
えー、音のない観戦なんて!でも画面から目が離せない!
しばらく、そうね10分以上は無音が続いただろうか。そのうち無音を突き破るように応援団がニッポンコールを始め、無音ながらも盛り上がってきた。
会場の誰かがしびれを切らし、大声で「音だしてくださーい」と叫んだら、それから間もなく音声が復活した。はぁ。言わなきゃ復活しなかったんですかね、もしかして?!
さすがブラジル、と思った瞬間…。


無事音声が戻ったところで、お、日本にチャンス到来?
もしかしてゴールかも?
というとき、こともあろうにダンナはグローボのインタビューを受けている最中。



これは見逃してはならん!!ブラジル相手に得点できるなんてほとんど奇跡なんだから!と、
インタビュー中の背中を叩いて、なんとかゴールの瞬間だけは見せることが出来た。ほっ。
そのせいで私もまともにゴールへの成り行きを見てないんだけど…。
とにかく、会場は大歓声の渦。私も絶叫!コイを抱きかかえて飛び上がって喜んだ。
まさに、夢のような1点。


その後は、あと十数秒で前半終了というときにブラジルに決められ、今度はブラジル勢が大喜び。そう、会場は純粋に日本応援団のみ、とうわけではなく、どっちを応援してもOKという状況だったのだ。
現に、取材スタッフたちはほとんどブラジル人だしね!そりゃあ、日本のゴール時に負けないくらいの歓声が上がったよ。
こういう、もう残りわずか…という状況でもきっちり打ってくるのがブラジルだなぁ、と感心した。なんだろうね、精神力の差だろうか?
ここで押さえたまま後半に入ってたら、日本の頑張りももう少し違っただろうにー。


後半は、ブラジルの華麗なプレーに目を見張るばかり。すごいな、やっぱり足さばきが違う。
軽やかに、弾むように。そう、どこかサンバのステップみたいにも見えるドリブル。
日本とは、何というか、リズムが違うんだなぁ…。素人だから偉そうなことは言えないけれど、私の目にはそんな風に違った。なんだかみんな楽しんでプレイしてるよね。
これが、ブラジルのサッカーなんだなぁ。

くやしい結果だったけれど、大勢の熱気に包まれて、思いっきり叫んで、こぶしを突き上げて、飛び跳ねて… そんな応援スタイルはとても快感だったし、楽しかった。
家でこんなに大声で応援するなんてありえないものね。(まず子ども達がびっくりして泣くからね、今日は終始周りがざわざわしてうるさかったから大丈夫)
もちろんくやしいけどね、でも今日の日本はよく頑張ったと思うし、1点取れたのも素晴らしいし。見ていておもしろい試合だったと思う、いろんな意味で。


終了後も取材攻勢に遭う私たち。
どうみても日本人、なのに平気でポル語でインタビューしてくるブラジル人取材陣よ…あなたがたの勇気には頭が下がります(笑)
そして、半分くらいしか質問を理解できないのに、使える単語だけをつなげて何とか答えようとする私たち夫婦も笑えます…。もちろんボツになるであろうに、いっちょまえにカメラに向かって答えてるんだもんなぁ。


なんと会場には日本のテレビ局(に依頼されたと思われる現地スタッフ)の取材陣もいた。
日系人のおばさんインタビュアーによる、日本語でのインタビューであった。
日本語なら得意ですので(笑)張り切って答えたよ。ジーコにどんな言葉をかけてあげたいか、というような質問だったな。
聞くと、日本テレビだと言っていた。日テレのことだよね?
何かの番組でサンパウロの応援ぶりが放送されるのだろうか…。


新聞では、朝日の記者さんが取材に当たっていた。これも掲載されるかは不明だけれど、ダンナがインタビューに答えていた。
サッカー大好き、にわか評論家な彼のこと。きっと水を得た魚のように答えていたんだろうな。


こんなふうに、最後の日本戦は、負けちゃったけど楽しい一日になった。
朝の電話リポートに始まる長い一日だったけど、いろいろと普段はできない経験が出来た。
ブラジル対日本の試合がなければ、この一連のいろんな経験はありえなかったわけで…
いま自分がブラジルに(たまたま)住んでいて、その年にワールドカップがあって、しかも日本と対戦することになって… いろんな偶然が重なったんだなぁ、と思わずにいられない。
ブラジルが、私と、いろんなものを結び付けてくれているのだな。
なんだか、不思議な縁を感じずにはいられない。