二人子連れ初の飛行機旅行⑥〜ブラジルでリンゴ狩り

ラージェスの街でリンゴジュース工場を見学した後、いよいよ今回の旅のメインイベント、リンゴ狩りへ。
私たち、てっきりこの街にリンゴ農園があると思っていたら…実は、ここからさらに車で1時間ちょっとのサンジョアキンという別の町にあるのだと言う。
またまたリンゴおじさんの車に揺られ、パラナ松の風景を抜けてリンゴ農園へ。


これがまたものすごい場所にあるのだ。
舗装された幹線道路をそれて砂利道の山道に入ること約10キロ。ほんとに山の中だ。
土ぼこりをあげて車は走り、なんと馬に乗ったおじさんが目の前を横切った。
ハツとナツで農場を見回る人が馬に乗って広い農場を駆け抜けていたけれど、まさにあんな感じだ。
実際には、今では馬ではなくバイクが農場での主な足になるそうだけれど…ほんとに馬で移動する世界なのね、ここは。


リンゴ農園の規模は、私たちの想像をはるかに超える壮大なものだった。
全体を見渡せないからなんとも表現できないけど、あっちにも、こっちにも、リンゴリンゴリンゴ…。
どの木もたわわに実をつけている。今がまさに、収穫のピークだそうだ。


農園で働く人たちのリーダーであるマックスさんに案内され、我々も早速リンゴ狩り!
まずは、大きな実で赤くつやつやしたジョナゴールド
ほんとに大きくてビックリ。そうね、男の人のこぶしより一回り大きいくらいはあるかな。

そしてメインで栽培されているフジ。日系人がブラジルにもたらした品種で、ヨーロッパ原産のものより大きくてみずみずしくて甘いとあって、この国でも大人気だ。
ジョナゴールドより小ぶりで色も渋い。

こんなのがゴロゴロなってるもんだから、リンゴもぎはとても楽しい!
簡単に木から取れるので、誰よりもコイが大喜び。放っとくと一人で奥のほうまで行って、嬉々として腕にいっぱい抱えて取ってくる。
そしてもぎたてをさっそくほおばってみる…。なんてジューシーで甘いの!

気付いたら、ええ、こんなにたくさんどうやって持って帰るの??というくらい大量に収穫していた…。大きいボストンバッグが余裕で満タンになるくらい。ものすごい重量だよ…。
だけどうれしい。リンゴの甘い香りに満たされて、気分も爽やか!


なお、この農園内には10家族ほどが住み込んでいて、年中リンゴの管理をしているとのこと。収穫期にはバスで市街地から多くの働き手が農園にやって来るそうで、この日も100人近くが園内に散らばってひとつひとつ手で収穫していたそうだ。
この広大な農園内の膨大な量をすべて手で収穫するなんて…考えただけで気が遠くなる。


驚いたことに、農園内には託児施設もあったのだ。両親ともに収穫作業にあたっている家の子が10人ほど、一つの部屋に集まって保母さん(?)と一緒に過ごしていた。
この子達もやっぱり見た目はヨーロッパ系。くりくりの金髪がとても可愛い!


ここサンジョアキンという街は、ブラジル国内でもリンゴの産地として有名で、街自体「リンゴと雪の街」として観光客にアピールしているようだ。
そう、ここはブラジルでは珍しく冬は雪が降るんだって!
街の中心にあった観光案内所の広場にはリンゴと雪だるまのオブジェがあり、タクシー待合所にもリンゴの絵。
植え込みの鉢もリンゴ、ベンチもリンゴ…と、まさにリンゴづくしであった。
そういえばホテルの朝食にもリンゴが並んでいたな。だいたいブラジルでは、パパイヤにスイカ、メロンあたりがフルーツの定番なんだけどね、さすがリンゴの街。


ブラジルに来る前は、この国でリンゴが栽培されているなんて思いもしなかった。
だけど、この街では多くの日系人がリンゴ農園を経営しているのね。サンタカタリーナ州でも、リンゴが盛んなこの町は、比較的日系人が多く住んでいるそうだ。


ブラジルの農業には、日系人の存在が欠かせないんだなぁ、と改めて実感した。
農村出身の私としては、その事実がとてもうれしく、誇らしかった。