日帰りでItuの街へ


サンパウロから車で1時間半ほど北西へ向かったところに、Ituという街がある。
ここに、おいしいドイツ料理の店があると友達に聞き、日曜日のきょう、プチドライブがてらふらっと向かってみた。


何度か東方面と北方面に行ったことはあるけれど、西方面は初めて。
カステロ・ブランコという高速道路は路面状態が良くて快適、だけど料金が行き9.40ヘアイス、帰りが6.20ヘアイスと、東方面に比べて高かったなぁ。
まぁそれでも日本に比べれば安いけどね。


確かに1時間半ほど走り続けて街に到着。しかし街の地図は持っていない。
それほど大きい街じゃないから、お店はすぐにわかるよ〜と友達は言ってたけれど、なかなかすぐには見つからず。セントロ(中心街)という表示に従って車を走らせるも見つからず、通行人にたずねてやっと場所がわかった。
さすが、有名店らしく、たずねた相手(おじさん)は「あぁドイツのバーね」という感じで即答してくれた。


さてさて店に入ると、なんと行列が出来ていた。受付のお兄さんに人数を告げると番号を書いた紙を渡され、マイクで呼び出しがかかるまで入り口付近で待つのだ。約30分待ちと言われたよ。もう時計は3時を過ぎていたのに!
ここの人は、ランチと夕食の中間くらいにレストランを利用するケースが実は多いのだろうか…いつも私たちは中途半端な時間をめがけて行くのに、いつも混んでいるよ。


結局30分ほど待ち、禁煙席に通してもらった。周りには家族連れが多く、我が家と同様、乳児連れも何組かいた。ママと目が合うと、「同じ境遇ね」という感じでお互いに笑い合う。


ここはドイツバーだから、地ビールが何種類もあるのかな…と思ったら残念ながらそうではなく、普通のメーカーの生ビールだった。だけどやっぱり冷え冷えのビールはおいしい!
少し冷房が効きすぎていたので肌寒かったのが少し残念。外はまだ少し蒸し暑いのに。


料理はガイドブックによると「フィレ ア ミラネーゼ」(子牛のカツレツ・ミラノ風)と自家製タリアッテレ(太めのきしめんみたいなパスタ)がご自慢とのこと。
じゃあそれを、ということでオーダー。
ここでも例外なく前菜が自動的に出てきて、まずはそれをつまみながらビールを飲むのだ。

ほどなくして、料理が到着。写真で見るとどちらもトマトソース&チーズがかかっていて同じように見えるね…。
これがいずれも思ったよりおいしくて、大満足!
子牛のカツレツはお肉が柔らかくて、チーズの風味がよく乗ってて、思わず「これおいしーい!」と声に出してしまうほど。

パスタも、ブラジルでよくある「でろでろ系(つまり、茹で過ぎでおいしくない)」ではなく、そこそこまともだったので良かった良かった。
概してブラジル料理の味付けは塩辛いことが多いのだけれど、ここはどれもあっさり目で食べやすかった。

本当は、ドイツ料理の代表格と言えるアイスバインとソーセージも食べたかったけれど、これだけ食べて満腹になってしまったのでまた次回に持ち越し。
ここも大人数で来たら、もっといろいろ食べられるのになぁ。

腹ごしらえのあとは、少し街を散策。レストランのすぐ近くに広場や教会などの見どころが集まっていた。
この街で有名なのは、巨大な公衆電話と巨大な信号機… 一体何のために作られたのかよくわからないけど、確かに巨大だった。みんなここで記念撮影をしていたよ。
そしてこの広場の周りには、巨大グッズを売るお土産やさんがあり、なかなかおもしろかった。巨大なエンピツとか、巨大なスリッパとか、巨大なお札とか…。

カラフルな可愛い外観のお店が立ち並ぶ街並みはなかなか素敵。
日曜日なのでお店はほとんど閉まっていたけれど、アンティークショップが何軒か開いていた。子連れだったので残念ながら中には入らなかったけど、ウインドウショッピングだけでも十分楽しめたよ。


ヨーロッパ風の美しい教会がいくつも建っていた。
サンパウロにも見事な教会建築はいくつもあるはずだけど、治安があまりよくない地域にあるということもあり、実はまだまともに見学したことがない私。
だから、初めてブラジルで見る大きな教会に感動してしまった。事前の下調べを今回は全然してなかったので、その教会がどういう歴史を持つのかわからないままに見てしまったけれど、ただただ美しく、感動した。

街にいたのはほんの3時間ほどだったけど、十分楽しめた。
こうやって少し足を伸ばせば、サンパウロの大都会とはまた全然違う世界を体験できるんだな。
帰り道で見た夕焼け空がとても広くて、あぁ、空ってこんなに大きかったんだ…と久々に思い出した。
サンパウロの我が家では、周りを高いビルに囲まれていて(我が家は低層階)、空はビルの隙間からちょっとだけ顔を見せるにすぎない。朝日も夕陽も見られない。それがいつも悲しい。
だからこんな風に郊外で広い空を見られるだけで、心が晴れ晴れするのだ。