写真編その4:パレードの裏方たち

一部、裏方と言うには失礼な重要な役割の方々もいますが、絵的にこちらに入れさせていただきました。
華やかな衣装はないけれど、グループの要とも言える大切な役割を担うのがインテールプレチ(直訳すると通訳者)。テーマを伝える歌い手、を意味する。要するに歌手ね。
山車の後半、高いやぐらに乗って朗々と歌っている。見るからにシンガー、といった風情でとても素敵だ。

そして、山車を動かしているのは、他ならぬ「人力」であります。
山車にエンジンを搭載することは禁止されているのです。だから、雪祭り雪像ほどもありそうな巨大な山車をも、人力で動かすしかないのです。
まさに黒子に徹している、たくましき男性達の光る汗もまた、素敵です。


それから、パレード中終始上空を舞っているヘリコプター。
ここにはテレビの中継クルーも乗っているのでしょうが、もうひとつ重要な役割が。
空から銀色の紙ふぶきを落としているのでした。なんてスケールの大きい紙ふぶきなんだ。
そして真夜中に舞う銀色の美しいこと!


1グループが終わる度に登場するのが、オレンジのユニフォームを着たサンパウロ市の清掃局員。これまたノリノリで、踊りながら地面の紙ふぶきを掃除していきます。きれいどころの女性ダンサーも伴っております。これだって立派なパフォーマンス!
ゴール地点までの約500メートルの掃除が一通り終わった後は、駆け足でスタートまで戻ります。毎度毎度、ご苦労様です。



元マスコミ関係者としてはどうしても注目してしまうのが、報道陣たちの様子。これほどのイベント、しかもビジュアル的にこれだけ優れている…となると、カメラマンもチカラが入りますよねぇ。
しかしテレビの中継は1社独占です。グローボというブラジル最大のテレビ局だけが放映権を握っているようです。よさこいソーランなんて、札幌の民放すべてがそれぞれ中継しちゃうからカメラの台数もものすごいことになってるけどねぇ、ここは1社だから落ち着いたもんです。とはいえ、パレードの列の中から、中継用のやぐらの上から、沿道から…と、アングルもさまざまに、相当数のテレビカメラが出てましたけどね。

どうやらテレビだけではなくラジオでも中継放送をしているようで、ヘッドフォンとマイクを持った女性レポーターらしき人が、パレードの合間に一生懸命ぶ厚い進行台本をチェックしておりました。これだけ長丁場になると、どのチームがどれなんだか、わけわかんなくなりそう…


新聞記者と紙媒体カメラマンも頑張ってました。ニコンのカメラをぶらさげて、汗だくでファインダーをのぞくおじさんに、思わず「がんばれー」と心の中で声援を送りました。


新聞記者といえば、ワタクシ、インタビューを受けてしまいました。
そもそも、声をかけられやすい最前列で熱心に見物してたもんだから。しかも会場ではあまり見かけないアジア人だったもんだから。
まずはポルトガル語で応えるべく頑張るも、途中で記者の質問が理解できなくなってしまって英語に切り替えてもらいました。「日本にもこのような祭りはあるのか?」という質問だったんだけど、浅草サンバカーニバルと答えればよさそうなところ、とっさに出たのは「よさこいソーラン」の話…。だって浅草のは見たことないし。
あとは、今日の感想などを聞かれて「踊り子達の笑顔が素敵で感動した」と月並みな返答しか出てこなかったよ。そして聞かれもしないのに「最近サンバを習い始め、来年は私も出場したい」としゃべっておいたよ。しっかり氏名と年齢、日本の出身地はどこかを聞かれ、インタビューは終わったのでありました。一応どこの新聞社か聞いたら、フォーリャ ジ サンパウロだった。大きな新聞社。本当に掲載されるのかなぁと思ってその後毎日、新聞を買っていますがどう見ても載っていないよ…(涙)


そしてパレードの中にいながら、テレビ中継では絶対に写されない存在である「指導員」の皆さま。チームの先頭やサイドにいて、振り付けの確認およびペース配分(制限時間を気にしつつチームを進めたり、遅れがちな人を誘導したりする)といった重要な役割を担っている。写真の黒い服の人たちがそう。


彼らなしに、適切なゴールはありえないと言えるでしょう。なんたってテレビカメラに狙われたら立ち止まってアピールし、沿道から手を振られたら近寄ってきて踊りをサービスしてくれるようなダンサーばかりなんだから!
現に、私がフェンス越しに笑顔で手を振ると、みんな喜んで寄ってくるのだ。おもしろかったよー。注目されることが何より快感なんだろうなぁ。