12月9日フェスタ ジ ナタウ(クリスマス会)

長男の幼稚園でフェスタジナタウが開かれるというお知らせが連絡帳に入ってきた。
日時を見てびっくり。なんと!金曜日の夜6時半から10時半の開催だと…
ええ、もちろんオトナの集まりではありませんよ、幼児がメインの催しですよ。
なのにこんな夜遅くだなんて、い、いいんでしょうか???
まぁ働いている父母にとっては、平日の日中に仕事を休んで参加しなければならない…と
いう状況より、平日の夜の方が都合がいいよね。そういう理由もあるんだろうな、
なんせ共働き夫婦の子どもが多い幼稚園だからね。


私はまだ産後1ヶ月に満たない身体だったので、最初は留守番していようと思っていた。
だけど思ったより回復状況がいいことと、夜間のベビーシッターさんがたまたま
見つかったので、直前になって出席することにした。


会場は園ではなく一般のパーティ会場を借りて。よくお金持ちの子どもの誕生会を
開くようなビュッフェ会場だ。
ざわざわと少しずつ父母や祖父母が集まってきて、とりあえずサービスされた飲み物を
飲んで開催を待っている。
で、スタート時間の6時半が少し回ったころ、おもむろに会が始まった…らしい。
というのは、日本でよくある「開催の挨拶」みたいなものが全然なくて、
なんとなく子どもたちが登場して、出し物が始まる…というような流れだったのだ。
とてもアバウトなのだ。


そんな雰囲気だから、一体この会はどんな感じで進むんだろう?子どもたちは
何かするのだろうか?と最初はなんだかよくわからなかったのだ。
だから子どもたちが並びだし、次々に天使の姿やイエス役の赤ちゃんが
登場してくるのを見て、
お、一応出し物があるのね!と安心した次第。


さて出し物はというと、園児全員(約30人くらいか?)による歌と踊り。
大きい子も小さい子も一緒になって、音楽に合わせて歌い、踊るのだ。


ブラジル人ばかりの中に、ポツリと一人の日本人であるわが子。その姿を見たときは、
なんとも奇妙な感じで… 一人だけ、明らかに違う風貌だものなぁ。
ちゃんとポルトガル語の歌に合わせて踊れるのだろうか?
日頃、「ポルトガル語なんて全然わかんない〜」と言っているわが子、みんなについて
いけるのだろうか?一人だけ出来なくて、情けない思いをしているのではないだろうか?
…と、親ならこんな不安を抱くでしょう?
だから踊りが始まったら本当に驚いた。感動した。



実にけなげに、一生懸命に、みんなと一緒に歌い、踊っていたよ我が息子!
口の動きを見ていると、どうやらちゃんと歌詞に沿って歌っているみたいだ。
1曲目は全員一緒に横並びで歌うもの、
そして2曲目は男女がペアになって踊るものだったんだけど、
長男のお相手は一番年長とみられる、スラリとスレンダーな
金髪の女の子、ルイーザちゃん。
踊りも一番上手で、見ていて笑っちゃうくらい上手に長男をリードして踊るのだ。
まさに長男は「踊らされてる」みたいで、微笑ましくて、親たちは口元がゆるみっぱなし。
同時に涙腺もゆるみ… 
あぁ、こんなに頑張ってるんだ。ちゃんと練習してたんだ。この子は大丈夫だ。
すっかり次男のお世話にかまけて、このところ長男のことは2番手に置いていただけに
この成長ぶりは私にとってあまりに突然で。
驚きと同時に、うれしさと感動は言葉で言い尽くせないほどだった。
親の知らないところで子どもは努力し、成長し、だんだんたくましくなっていくんだなぁ。
そんなふうに思ったら、泣けてきた。



発表が終わると、子どもたちはそれぞれ親のもとに駆け寄ってきた。
はにかみながらやってきた息子を、思いっきり抱きしめた。
すごく頑張ったね、すごく良かったよ!というと、何ともうれしそうな顔をした。


出し物のあとは、施設内にある遊具で子どもたちは自由に遊び、
親たちは飲んでしゃべって…というフリータイム。
食事は、小さな揚げ物とかサラダとかパスタなどの軽食が用意され、
飲み物はビールとかジュースなどが飲み放題。
さて私たち夫婦はというと、悲しいかなポル語でのコミュニケーションが
いまだにままならないので、他の父母とはろくに会話することが出来ず。
笑顔で会釈する程度だ。とほほ。


しかしそんな私たちにも時々話しかけてくれる人たちがいた。
長男が園で仲良くしている子たちのお母さんたちだった。
「息子はいつもコイの話ばかりするのよ!」
「コイはとてもシンパチコだわ」「アスーカウだわ」…などなどと、
みんな笑顔で息子のことを話してくれる。
ちなみに息子は園で「コイ」と呼ばれている…(池の鯉みたいだ…)
シンパチコとは親しみやすいということ。
そしてアスーカウって…私の知っている意味では「砂糖」のことだよ。
砂糖のように甘いってこと?え?どういうこと?と思って家で辞書をひいたら、
アスーカウには「優しさ、温和」という意味もあるんだって。なるほど。
きっと子どもたちは、クラスに突然入ってきた日本人の男の子が珍しくて
いろいろとかまってくれているんだろう。そして家でも話題にしているんだろう。
何にせよ、友達とも仲良くやっていることがリアルに確認できたし、
お母さん達にもいい印象を持たれているようで本当にうれしかった。


会も終盤に近づいた頃、お待ちかねのプレゼントタイム。
サンタクロース(ポル語ではパパイノエル)が大きな袋にプレゼントを入れて、
ひとりひとりに渡すイベントだ。
プレゼントは事前に幼稚園側から「だれそれ宛てのプレゼントを1000円以内で
用意して提出するように」というお達しがあるのだ。
我が家は、長男の一番の友達だというマックス宛のプレゼントを提出してあった。
長男にはガブリエラが選んだプレゼントが届いた。大き目のクルマのおもちゃだった。



生後1ヶ月に満たない子を置いて出かけることに多少なりとも後ろめたさはあったけど、
今夜は本当に来て良かったと思ったよ。
私は赤ちゃんのママであると同時に、長男のママでもあるんだから。
長男だってママに晴れ姿みてもらいたかったよね。
本当に来て良かった。
コイのためにも、私のためにも。


※すでに我が家では「コイ」の名が定着してしまった…というわけで、
今後この日記では長男のことをコイと書きます。
次男はアレックスでよろしく。