静かなナタウ


クリスマスの朝は、いつになく静かであった。
日曜日、いつも近所で開かれているフェイラも、ほぼ年中無休のパン屋さんも、
さすがに今日はお休み。
車の通りも少ないし、あぁなんて静かな朝なんだ… というのが今日の第一印象。


だってね。
ここに暮らしていると、とにもかくにも騒音が激しいのよ。
早朝、ありえない時間に(まだ4時過ぎとか!)、大音量のカーステレオを響かせて
マンション前のゴミ置き場にやってくるゴミ収集車とか。
平日の日中に我が家に電話したことがある方にはすっかりおなじみですが、
築30数年を誇る我がマンション、水周りの不具合が各部屋で起きているらしく、
まぁ毎日毎日飽きもせず水道管工事が行われ… この音がものすごい。
上の階からコンクリート壁を伝って響き渡るトンカントンカンという音、
相手の電話の声が聞こえないくらいの騒音なのよー。
この音に、引越し直後からほぼ毎日悩まされていたのだ。


で、その工事は土日は休みなんだけど。だからクリスマスの日も休みだったんだけど。
とにかく、あらゆる騒音がストップした、とーっても静かな朝だったんだ。


マンションの住民も、半分くらいはどこかへ旅行に出かけているみたい。
サンパウロの街から、多くの人がいなくなっているみたい。
こんなに静かだと感じるのは、サンパウロに来て初めてのことだ…。


たとえるならば、日本の元旦の朝という感じ。
最近では大型スーパーの元日営業が普通になってしまった日本だけれど、
ここブラジルではほとんどのお店がお休みになるナタウ。
(その代わり、ショッピングセンターではナタウ前々日から
36時間ぶっ通し営業をするというからおもしろい。)
クリスマスと元日では、その意味合いが全然違うけれど、雰囲気はまさに日本の元旦だ。
本当の元旦には、この街はどんな雰囲気になるんだろうな。


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さて日曜日だ。雨も降っていないし、せっかくだから家族揃って公園にでも行こう!と
いうことになり、早速、自転車を車に積んでイビラプエラ公園へ。
行ってみると、駐車場は割りとすいていた。でも公園には結構な人が出ていた。
サイクリング用のレーンで、ここぞとばかりに乗りまわる長男。大喜びだ。
もちろん横にはパパがしっかりとついて。
私は次男をベビースリングに入れてその近くを歩いて。
次男にとっては(病院以外)初めての外出。気温も高すぎず、ほどよく風が吹き、
気持ちいいお散歩日和だったよ。


そのあとは車でパウリスタ通りを少し走った。大きな銀行のクリスマスディスプレイが
素晴らしいと聞いていたので、車窓からでも楽しめたら…と思って。
そうしたら、Bank Realということろが、日曜なのに開いていたのだ。もちろん、
見物客向けにね。
せっかくだから車を止めて、中に入ってみたら… まるでディズニーランドかどこかの
パビリオンのように、よくできたクリスマスのセットがいくつも展開されていた。
素晴らしかったよ… 動くサンタに天使に…
人々が行列を作って見学していた。それも納得のディスプレイ!
もちろん閲覧は無料。写真撮影もOK、ということで、ブラジル人たちも大喜びで
カメラを構えておりました。


そしてすれ違う人々、スリングの中の赤ちゃんを覗き込んでは
「ボニチーニョ!」(可愛いね)「パラベンス!」(おめでとう)と声をかけてくれる。
気さくで子ども好きなブラジル人、いいなぁ。理屈抜きでうれしくなるもんね。


いったん家に帰り、今度は夜になってまた車で公園に向かってみた。
木々がライトアップされ、音楽に合わせて噴水もライトアップされるという話なので、
近いし、ぜひ見てみたい!ということで。
しかーし。これがまたものすごい大渋滞。静かな朝同様、こんなに激しい渋滞も
ブラジルに来て初めてだよ、というくらいの車の列だ。
もちろん、ほとんどが噴水見物の人々。
車を止めて、噴水のわきまで行って見物する人も多いけれど、うちみたいに
赤ちゃんがいると、夜の風に当てるわけにもいかないからね。渋滞ガマンで噴水近くへ。


やっとたどりついた噴水はとてもきれいだった…。
英語のクリスマスソングが流れる中、ライトアップされた木々をバックに、
威勢よく水が噴き出していたよ。
そして見物客の多いこと多いこと!
これまた全然雰囲気は違うんだけど、日本のお正月の初詣みたいだった。
露店なども出て、楽しげな雰囲気だった。


こういうクリスマスもあるんだな。
都会で迎えるナタウ、とてもいい経験をしたよ。