ミュージカル「ミス・サイゴン」ポル語バージョン


日本の帝劇で3度も見た「ミス・サイゴン」。オペラ座の怪人に次ぎ、大好きなミュージカルだ。
(でも最初にブロードウェイで見た時は、ストーリーが全然わからなくて寝てしまった…リア・サロンガの最後の舞台だったのに!)
さすがに3度も見ていると、音楽もセリフもかなり覚えていて、これならポル語で見てもかなり理解できるはず、という確信があった。
だからいつかサンパウロでも上演されないかなぁ〜と待ちわびていたのだ。
それが今年7月からTeatro Abril(テアトロ・アブリウ)で始まっていた。いつまでなのかわからないけど、とりあえず年内いっぱいはやっている感じ。


で、先日晴れて観劇できることになった。
木曜の夜だったんだけど、客席は気の毒なくらいガラガラで…。これはロングラン上演は難しいかも?と思うような状態。
どうしてかなぁ、こんなに素晴らしいステージなのに。オペラ座の時は、2回見た2回ともかなり満席に近かったのに。


歌手のショウなどは必ず30分や1時間は平気で遅れるブラジルだけど、ミュージカルだけは定刻開始である。
日本で見たのと同じ展開でストーリーは進み、日本語の歌詞をほとんど覚えているから、ポル語訳の歌詞であっても十分楽しめた。
ブラジル人キャストは皆、すばらしい。演技も歌声もバッチリ。不思議と、それぞれのキャストがオリジナルに近い声質を持っている気がする。
そういう人をオーディションで選ぶのかなぁ。


特に感動したのが、劇の真ん中くらいで登場する「ドラゴンダンサーズ」。20人くらいの男性がアジアンチックな仮面と衣装をつけて勇ましく歌い踊るもので、大変力強い。
日本で見た時もそのシーンがとても好きだったけど、ブラジル人ダンサーはもっとすごい。動きがしなやかで、なめらかで、どことなくカポエイラの動きを思わせる力強さもある。
あの迫力はちょっと他では味わえないと思うなぁ〜。


日本ではちょっと線が細すぎる感じのエレン役も、ここではオペラ座のクリスティーヌを演じた金髪女優が演じている。
だからすごく歌がうまいし、演技もバッチリ。
クリス役も、イケメンのラウル役を演じた彼。これまたハマリ役。
ヒロインのキムはベトナム人女性ということだけど、これがまたメイクの効果か、アジア系ハーフと見られる女優がまさにベトナム女性のように演じていた。


さすが多民族国家のブラジルだ。アメリカ人役はアメリカ人っぽい髪の色・肌の色のキャストが演じ、ベトナム人女性群はアジア系(おそらく多くが日系3世くらい?)の女性が演じる。
だからすごくリアリティーがあるのだ。
日本はアメリカ人役もベトナム人役も、すべて日本人が演じるわけだから、ときどき無理が生じるよねぇ…。


今回も、「子を持つ母」として、ヒロインに感情移入しまくりで、涙・涙の2時間。
どこで見ても、何語で見ても、素晴らしい演目だと思う。ミス・サイゴンは。