移民資料館と、日系人家庭でのディナー

日本から来ている義父たちがサンパウロで過ごすのもあと3日。土・日・月だけだ。
車でどこかへ一泊旅行、というのもアリだったけれど、ずっと旅行続きの義父もちょっとお疲れモードだったし、そういえばサンパウロ市内もほとんど見てないよね…。
ということで土曜日は、午前中家でゆっくりし、午後からリベルダージの日本移民資料館へと出かけた。


ここは私は2度目だけれど、ダンナは初めて。もちろん義父も初めてだったけれど、思いのほか二人とも喜んでくれてびっくり。
なぜびっくりかって… いや、その、結構、地味な資料館だしね、無料じゃないしね(大人ひとり5ヘアイス、約270円)。
だけどやはり、同じ日本人が、この異国のブラジルで歩んできた道、切り開いてきた歴史を、話だけじゃなくいろんなビジュアルを通して自分の中に取り込むという体験は、なかなか貴重なことのようなのだ。


移民船の大きな模型や、当時の生活を再現ビデオにしたものとか、開拓期に森に現れた動物のはく製とか、展示品は結構いろいろとあって。
小さい文字ではあるけれど、ちゃんと日本語でも解説が書かれていて。
約1年ぶりに私もここを訪れたけど、ああ、ここは自分の両親も連れて来るべきだったなぁ…と後悔。
あのときは、ここに来るなんて思いもよらなかったのだよ。
今回は、先日ちょこっとリベルダージを歩いたとき、義父に資料館の存在を話したら、ぜひ見てみたい!と乗り気になってくれたのがきっかけ。


土曜日の午後だったけれど、見学者は私たちの後から次々に入ってきて、思ったより賑わっていることにも驚いた。
ご自身が日系2世であるというおばさんとおじさん、日本からのバックパッカーふうの若者、駐在員家族っぽい日本人ファミリー、それに生粋のブラジル人男性も熱心にメモを取りながら見学していた。


今でこそ、ブラジルの日系人は、社会的にも認められていて、だからこそ私たち日本人がポッとブラジル社会に飛び込んで行っても蔑視的な目で見られることなどほとんどない。
異国で、これだけ居心地よく違和感なく「外国人」として暮らせるのは、ブラジルをおいて他にはないのではないかとすら思う。(って、他はよく知りませんが…)
けれどそれは、これまでの開拓者である日系移民の方々の計り知れない苦労があってこそ、だと思う。


頭ではそう思っていたけれど、こうやってさまざまな展示を目の当たりにすると、いかに日系人の功績が大きいか、苦労が大きかったか…ってことがよぉぉぉーーーくわかる。感動する。
そう言ったのは我がダンナ。
へぇ、今までそういうことにあまり興味を示すようには見えなかったけどねぇ。
そんな彼のココロをもゆさぶる、移民資料館なのである。(って、大げさかな)


なお、第1、第3木曜日には、ブラジルを知る会の有志(私の大先輩たち)によるボランティアガイドが、皆さまのお越しをお待ちいたしております〜。
私もいつか、もっと移民の知識を蓄えたら、ぜひガイドとしてデビューしたいもの…
さて何年先になるやら?ですが。

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そしてこの日の夜は、いつもお世話になっているご近所の日系人ファミリーHさんのお宅におよばれ。ジャンタール(夕食)をぜひ一緒にいかが?とお声をかけていただいたのだ。
Hさんには本当にお世話になっていて、私が来たばかりの頃、家の電気が突然止められたときにも電気会社に連絡したり銀行で払い込みしたり…私を救ってくれたのだ。
そして最近では、Hさんの息子のAくんと、ポル語・日本語のランゲージエクスチェンジをしていた。そのHさん宅に、義父も一緒に、みんなでお邪魔させていただいた。


Hさん宅には、移民1世であるHさんのご両親もいらしていて、バリバリの日本語で会話。だから義父もどんどん会話に参加でき、とても楽しいひとときとなった。
Hさんは2世だけれど、ポル語がメイン。だけど日本語でも十分コミュニケーションOK。
Hさんの奥さんは3世、なのでヒアリングはまぁまぁOKだけど、スピーキングはほんのちょっとだけ。だから彼女と話すときは少しポル語も混じって。


料理は奥さんが用意してくれていて、和風のナスしょうが風味とか、もやしの和え物などのほか、ブラジル風のバカリャウ(干し鱈)料理などもあり、ミックスカルチャーな感じでとても良かった。
最初に出されたお酒はカイピリーニャ(ヴォジカ→ウォッカのこと:がベースのカクテル)というのも実にブラジルらしいよね。美味しかった。


話題は、日本を訪れたときの印象とか、移民してきた頃の様子とか、はたまたブラジル国内でのクルーズ旅行のこととか…。
とてもここがブラジルとは思えないような、日本語での会話を、日系人の皆さんと楽しんだ。楽しい夜だったなぁ。


最後に全員で記念写真を撮った。なんか、日本の親戚の家に遊びに来たような感覚で、懐かしい気さえした。