YOSAKOIソーランinサンパウロ


なんと、地球の裏側ブラジル・サンパウロにも、ヨサコイソーランがあるのだ…。
去年、ダンナが私より3ヶ月早く赴任したとき、サンパウロでヨサコイを見に行ったと
言ってて、まぁそれなりに踊ってるって感じだったかな…なんてそれほど評価は
高くなかったようだから、今年もそんなに期待はしていなかったんだけど。
なかなかどうして。今年のサンパウロヨサコイは結構すごかったのだ。


会場は立派なホール。かつて、演歌歌手の坂本冬美がコンサートをしたという、
Via Funcialヴィア フンシャルという施設だ。
入り口もモダンな感じで、んー、ちょっとヨサコイというイメージじゃないけど、
とにかく立派だ。音響や照明がしっかりしている。


入場は無料だけど、その代わり、一人一人が小麦粉や米、砂糖などの食材を持参する。
これらは、サンパウロ福祉施設(老人ホームや障害者の家など)に寄付されるのだ。
入り口はさながら「逆配給所」状態。みんな手に手にスーパーの袋をさげて、
窓口に渡すのだ。


開場は開演1時間前、私達が到着したのは30分前くらいだったけど、すでに結構な人数。
会場が暗転し、司会者が登場した頃には後ろの席までびっしり。満席に近い状態。
多くは日系人だけど、非日系のお客さんも結構多い。子どもから若者、お年寄りまで
まんべんなく客層が広がっている。へぇ、ヨサコイ、結構人気あるんだ…。


司会者がひとしきりヨサコイの説明(日本の北海道から始まった祭りでリオのカーニバルを参考にして始まった、サンパウロではこれが4回目、年々参加者も増えている…などなど)を語った後、今度は白いドレスの恰幅のいいカントーラ(女性歌手)がステージに。
なんと、バラード調のしっとりしたピアノ演奏に合わせて、ブラジル国歌を歌いだした。
これがものすごーく素敵で、感動モノ。ワールドカップで流れた軽快なアレンジとは全然別の歌みたいに、朗々と、情感たっぷりに歌い上げていた。
ブラジル国歌って素敵だよね。メロディーラインがとてもきれい。


続いて日本人の女性ソプラノが登場、今度は君が代を独唱した。これも負けないくらい素敵。
それにしても日本の国歌は短いのぅ…。長いブラジル国歌の後だから余計にそう感じちゃった。


そしていよいよ踊りのスタートである。ステージはこんな感じで、照明がすごくきれい!

ご覧の通り、ステージの背景には日本語でチーム名「平成なるこ会」と書かれた大きな旗がディスプレイされている。
このチームは、ほとんどが日系3世とか4世。見た目は日本人と同じ顔つきの若者である。
踊りは、各チームごと工夫が凝らされていて、それぞれ振り付けが違う。
曲も、オリジナルらしきものがあったり、札幌のヨサコイチームの曲をいくつかつなぎ合わせたものがあったり…。


ところで我がダンナ、札幌在住時にはアラコレッテ4プラという有力チームで踊り、優勝をも経験した自他共に認めるヨサコイフリークである。
東京に住むようになってからも、ほぼ毎年、よさこいを見るためだけに札幌に行っていたほどである。
そんな彼が隣に座り、いちいち、「あ、この曲、三石なるこ会の何年前の曲だ」とか、
「お、これはパスキーの曲だ」などと解説してくれるもんだから、より一層楽しめるってもの。



こちらは、ヒベイロンプレットと、サントアマーロという2つの地方都市の連合チーム。
ちなみにこれらの都市、サンパウロから車で6時間くらい?かかる遠い場所にある。
そんなところからも、よさこいのためにバスでサンパウロに駆けつけているのだ。
バックで振られている黄色い旗には、表にポル語、裏に日本語でチーム名が書かれている。

衣装のほうも、各チームとも工夫が凝らされていて興味深い。
典型的なロングハッピスタイル(平岸天神風)もあれば、スタイリッシュな洋装もある。
曲の途中で衣装替えをしたり、手に布を持ってはためかせたりという演出も登場している。
おそらく、本場札幌のよさこいを研究しているんだろうね。



1チーム20人〜40人程度とそれほど多くはないけれど、道路ではなく、こういうステージで踊る分にはそのくらいがちょうどいいのかも。
幼稚園児が含まれるチームもあれば、脂の乗り切ったオバサマたちで結成されているチームもある。
いろいろ変化があるから、見ていて楽しいひとつのショーのようだった。


これは、曲のイントロに童謡「とおりゃんせ」を持ってきて、4人の少女が踊るという演出。
日本人の顔つきの少女の中に、日本の血が少ししか感じられない少女の顔もあった。


なんと4チームを擁する美容院「SOHO:蒼鳳」からは、きれいでカッコイイ青年たちが登場。日頃、美容師として腕を振るっている彼らは、見た目もおしゃれでヘアスタイルも最先端だ。
彼らのチームには非日系らしき人が多い。早いリズムの動きになると、やっぱり彼らはダントツにかっこいいのだ。


なおこの催しには一応審査員もいて、最終的には順位がつけられるみたい。
昼の部12時からと、夜の部午後5時からとあって、私達は昼の部を見たから
おそらく審査結果は夜の部のあとに発表されるんだろう。


ちなみにサンパウロのYOSAKOI、美容院SOHOのオーナーである日本人の男性が
自己資金をもとに運営しているそうだ。たまたま入り口で彼を見かけたので声をかけてみたら、なるほど、確かに熱い男性であった。
2008年の移民100周年には、札幌からチームを呼んだり、逆にサンパウロから北海道に踊りに行ったり、振り付け師を日本から呼んだりしたい…などと語ってくれた。


札幌の人はまだ、ここサンパウロでこんな風にYOSAKOIソーラン祭りが盛り上がっていることなんて全然知らないだろうな。
もちろん、サンパウロにおいても、YOSAKOIを知る人はまだほんの少数派だと思う。
でも、これだけのチームを擁し、これだけの規模で毎年実施してるんだから、たいしたものだと思う。ちゃんと年々レベルアップもしているんだし。
(去年とは大違いだ、とダンナもかなり感心していた)
恐るべし、ヨサコイパワー。サンバに負けずに、ブラジルでも大きく成長するのだ!!


(下の写真は、熱い応援団の様子)