サンバじゃないカルナヴァル…初心者には難しいサルバドール?(一日目チケット購入編)

さて空港到着後、私たちがまず向かったのは、エアロクルービ・ショッピングという施設。
ここはショッピングモール兼遊技場のようなところで、サルバドールカルナヴァルの販売関連の拠点になっているのだ。
販売関連の拠点とは要するにカーニバル参加のためのチケットや、Tシャツや帽子などの記念グッズを扱っている唯一の場所。
ちなみにカルナヴァル自体は、こことは全然別の数ヶ所で繰り広げられる。
ここは単に販売だけのための場所…。


なのに。着いてみたらものすごい人・人・人!!!
ショッピングモールの駐車場は満杯、広場前は人だかりで前に進むのも難しいほど。
なぜこんなところに集まるわけーーー???カルナヴァル会場はここじゃないんだけどーーー???


よくよく見ていると、人々はどうやら、ダフ屋から参加チケットを買おうとしているようだった。
正規の販売窓口はショッピングセンターの中に設けられているのだが、屋外の広場には非合法の(?)売り子がいっぱい。
うーん、ダフ屋が発生するほど人気なのか、サルバドールのカルナヴァルって…。

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実はサルバドールのカルナヴァルのしくみというのは、ちょっと複雑で初心者には難しい。
来年行ってみようかな〜、と思っている人のために、少しばかり詳しく書いておきたいと思う。


世界的に有名なリオのカルナヴァルと、私が参加したサンパウロのカルナヴァルはほとんど同じタイプ。複数のサンバチームが優勝を競い合うコンテスト形式で、踊り子として参加したい人は事前に衣装代を支払って歌や踊りを練習し、当日参加する。
そして観客は「チームに対するチケット」ではなく、「開催日に対するチケット」を買って鑑賞する。
つまり、自分の都合のいい日のチケットを買うだけだから、選択肢は少なく、それほど迷うことなく買える。


ところがサルバドールは、リオ・サンパウロのカルナヴァルとは全く別物。
そもそも音楽が「サンバ」ではなくて「アシェ」という全然別のジャンルのものが中心。そこに「アフロ系」や「レゲエ系」が加わっていて、まぁとにかく「サンバチーム」とは全く違うものである。
そしてパレードは公道を使って行われる。リオ・サンパウロでは、閉鎖された専用の特設会場で行われる。
サルバドールのパレードの主役は、巨大なトラックの上で歌うアーティスト達。彼らが、パレード中の約3時間ほど、ひたすら歌を歌い続ける。そう、さながら野外移動コンサートのように…


で、観客はどうするのかというと、好みのアーティストが乗っているトラックの前後にくっついて一緒にパレードする→Bloco(ブロッコ)という。
もしくは、よさこいソーランの桟敷席のように(札幌の人しかわかんないか?)、沿道に設けられた特設観客席にて、過ぎ行くトラックをいくつも鑑賞する→Camarote(カマロッチ)という。


この選択肢が数え切れないほどあるのだ。
まず会場が大きく二つに分かれていて、セントロをぐるっと回る「カンポ・グランジ」会場と、ビーチ沿いを練り歩く「バッハ・オンジーナ」会場がある。
そのどちらにするかで迷い、今度はブロッコかカマロッチかで迷い、ブロッコの場合どのアーティストのトラックを選ぶか迷い… という具合。
なんかややこしいですね。
ま、好きなアーティストが決まっている場合は、迷わずその人に着いて行けばいい。
でも私たちはバイーア音楽って全然知らなくて。これがまた独特な世界で。奥が深いんですよ…。


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と、しくみ説明が非常に長くなりましたが。


サルバドールのカルナヴァルに行くと決めてから、いくつかアシェのCDを聞いて、どのアーティストに着いて行こうか考えた。
過去に行ったことのある方から話を聞き、それぞれのアーティストの特徴なども教えてもらった。
そして日程や会場、子どもたちをシッターさんに預ける時間帯なども考慮して決定し、事前にネットでチケットを購入しておいた。
そのチケットを、前述の販売窓口まで引き取りに行かなきゃいけなかったんですよ。
チケットだけならオンラインで送ってもらって印刷でもすればいいじゃん?と思うけど、チケット代にはパレード参加に欠かせないアバダーと呼ばれる「お揃いTシャツ」が含まれているのだ。
このお揃いTシャツを着ている者のみが、アーティストに着いて歩ける…というわけだ。
だからなんとしてもTシャツは受け取らなければならない。


たかがTシャツ、でもこのTシャツがチケットなのだよ。世界一高価なTシャツかも知れない。
いま、ブラジル中で大人気のアシェ歌手、Ivete Sangalo(イベッチ・サンガーロ)のブロッコになると、なんと!750ヘアイス…。
一枚のTシャツが約4万2千円ですよ奥さんっ!!!!!
誰が買うの????

Ivete Sangalo [DVD]

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…でもいるんですね、買えるお金持ちが。さすが経済格差・大の国、ブラジルであります…。


なお私たちは、バッハ・オンジーナのブロッコひとつ(Daniela Mercury:ダニエラ・メルクリ)→190ヘアイス。
カンポ・グランジのカマロッチひとつ(Camarote Central)→210ヘアイスを購入。
平均価格帯は150〜250ヘアイスくらいかな。イベッチだけが、ずば抜けて高いのであった。
ダフ屋ではいくらで取引されているのかなぁ。

Eletrica

Eletrica


かくして、私達も正規窓口にて無事Tシャツを受け取り、総額数万円相当とは思えないきゃしゃなポリエステル製Tシャツを大事に大事に抱えてホテルへ向かったのであった。
このTシャツ、どうやら事前にサンパウロまで送ってもらうことも出来たようで、サンパウロから飛行機で持参する人もいるらしい。
空港で荷物を預ける際、係員から「中にTシャツは入ってないか?Tシャツは手荷物にしてくれ」と言われたのだった。
そうだよね、数万円のTシャツ… それは貴重品扱いに相当するよね。実際、なくなってトラブルになるケースもあるんだそうだ。
恐るべし、カルナヴァルTシャツ。