見知らぬおじさんに救われる


こちらに来て間もなく購入した携帯電話がどうも調子悪い。
っていうか、着信はできるのに発信ができないんですけど… それって電話としての
機能の50%しか力を発揮できてないってことですけど…
いつか直してもらいに携帯ショップに行かねば、と思ってたんだけど、なかなか行けず。
産後、外出の機会も減ったし携帯もほとんど使ってないから、まぁいいか〜と
その状態で放置していた。
で、今日、たまたま携帯ショップの近くを通ってそのことを思い出したので、
意を決して、窓口に出向いてみた。
ポル語で不具合を説明する自信も、店員さんの説明を聞き取る自信も皆無だったけど、
実物を見せればなんとかなるさ!くらいの気持ちで窓口にトライ。


しかしやっぱり全然通じないよ… だって私が口にした言葉は、
「私は電話をかけることができない」。
どういう状態で、いつからそうなのか…などという小難しいことを言えるわけない。
案の定、窓口のお兄さんも「理解できませーん」を繰り返すのみ。ふー困った困った。
すると、すぐ後ろに並んでいたブラジル人男性が、声をかけてきた。
ひえぇ。
何ダラダラしてんだ、後ろがつかえてんだぞ!!
…と怒られるのかと思ったら。
「日本語ですか?わたし日本語少しわかります」と言う。
え?どうみてもおじさん、非日系ブラジル人なんですけど。日本語って…??
しかしこの状況をどうにかして抜け出す必要があるし、これはおじさんの語学力を
信じて。日本語でおじさんに説明してみた。するとしっかり店員さんにポル語で
通訳してくれているではないか!


で、どうやらそもそも私は携帯の料金のしくみを誤解していたようで。
私が買ったのはPreといって、プリペイド式の電話機なんだけれど、
私は購入時にすでに5000円程度通話可能なだけのチャージがされていると
信じていたのだ。買えばすぐに、とりあえず5000円分は含まれているから
通話ができるものだと。
しかしそれが大間違いだったんですね〜。
おじさんの巧みな日本語、英語、そしてポル語の説明により、そのへんをしっかりと
理解できましたよワタクシ。
新機購入後、すぐに別途チャージしなければならなかったのですね。
代金にチャージ料は一切含まれてなかったんですね…。
(だけど購入直後は2回くらい発信もできていたんだよなぁ。なんでだろうなぁ)


は〜そうだったのかー。わかりました。アンダスタンド。エンテンジー
と、こちらも日本語、英語、ポル語をなぜかミックスしつつ、おじさんに答える。
では早速チャージしないと… と思うも、なんと携帯ショップではチャージできないと。
別の場所に行かねばならないと… ひーん。なんて面倒なんだ…と青ざめていたら、
おじさん、なんとそこまで私を導いてくれたのだよ。
その場所は、フロアをひとつ下がった、店の一番奥にある宝くじ売り場であった。
こんなとこ絶対一人じゃ気付けないよー、という場所だったので、連れてきてもらって
本当に助かった。


宝くじの窓口で、自分の携帯番号と、いくら分チャージしたいかを告げると、
窓口のお姉さんが何やらパソコンで操作をし、私に確認ボタンを押すよう指示した。
そしてお金を払っておしまい。晴れて、私の携帯は通話可能になりました。
そのやりとりの間もおじさんは側にいてくれて、通訳してくれていたよ。
あぁ。なんて親切な人なんだ。
さっきまで自分も携帯ショップの列に並んでいたのに。貴重な時間を私のために
たくさん割いてくれて…。私ゃうれしくて涙が出そうだったよ。


聞けば、おじさんは日本企業(某電気メーカー)に勤務していたことがあるそうで、
日本にも半年住んでいたとか。は、はんとしでそんなに日本語話せるようになるのですか?
一緒にいた日本人の友達とふたり顔を見合わせて、わたしたちブラジルに4ヶ月ですけど
全然ダメダメです… と自らをあきれてしまった。
さらにおじさんはイングリッシュもオーケー。確かに、上手に英語を話していた。
なんて知的で親切な紳士なのだ…。
そして、たまたまとは言えこのような方に出会えて助けてもらえた私って
なんてラッキーなんだ…。


言葉があれば、人助けができる。
ここにいて、何度も言葉の面で人に助けられている私。いつか、今度は私が
言葉を武器にして人助けをしたい。本当にそう思った。

ブラジル生活を楽しむために


今日はなんとも楽しいテーマの講演会に行ってきた。
主に駐在員の妻を対象にしたもので、内容は、いかにサンパウロで楽しく暮らすか、
というもの。なんともダイレクトでわかりやすいテーマである…。
講師は、世界各地を転々とされてきた、ご自身も駐在員である某機関の幹部さま。
ブラジルの観光やビジネスに大変詳しい方であるうえ、休日には非常に精力的に
街を歩き、サンパウロのエンターテインメント(サッカー、美術館、芸術などなど)の
ほとんどを経験し、また国内・南米各地かなりの場所を旅してきた方である。
その方が、生活を楽しむためのノウハウを伝授する、という感じの講演だった。


週末の催し情報を知るためには、金曜日の新聞に付いてくる週末ガイドブックを
読めば良い…とか、サッカーや演劇のチケットをとる方法とか、
おすすめの旅行先とか、
そういう細かい具体的なノウハウも満載だったけれど、
一番心に響いたのは、次のようなお話。


・あらゆるチャンスを逃すな。その時にしか出来ないことを逃さないこと。
・情報収集ネットワークを常に心がけること。
・好奇心は年々薄れるもの…赴任時の旺盛な探検心を大切に。
・できるだけ早く行動に移すこと。いつかできる、いつか行けると思ったらダメ。
・駐在期間中の計画を立てること。
(いつ、どこへ行くなど、実現しなくてもいいから大まかに立てておく)
ポルトガル語を最初の年にマスターすること。

どれも、わかっているようで、忘れがちなことだなぁと。
特に、好奇心は年々薄れる…赴任中の計画を…というあたりに、大きくうなずいてしまった。
私だって、まだ1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月… なんて言ってたら、もう丸々4ヶ月過ぎてしまったものね、ブラジル生活。なんとなく暮らしていたら、やりたいことの何分の一しかできなかったとか、行きたい場所の何分の一しか行けなかった…ということになっちゃうよね。


旅行計画を立てることが何より好きな私たち、早速帰宅した夜にカレンダーながめつつ、
これから3〜4年間の予定を考えてみた。
そうしてやってみると、3〜4年なんてあっという間。
その間、子どものいろんな節目(といっても長男の小学校入学くらいかな)とか、
2年目の一時帰国とかがあったりすると、なんだか意外に旅行できる期間は短いのね…。
そんなに休みがとれるわけではないしね。(ブラジルの暦どおり、そしてブラジルは
祝日が少なくて振り替え休日制度もないよ)


やってみたい習い事だってたくさんあるけれど、計画的に進めないと
何一つマスターせずに帰ることになってしまいそうだと気付いたり…。


せっかくの海外生活。海外生活それ自体が非日常で、かけがえのない経験だけれど、
そこから少し範囲を広げ、足を伸ばせば、もっともっと多くの経験が自分のものになる。
今も十分楽しいけど、もっと楽しく過ごせる余地が、ここブラジルにはあるんだなぁ…と
改めて思わされた一日。


そして、楽しい生活のためには、やはりポル語マスターは欠かせないものなのだということも…。